家庭で電気と熱を創り出す「コ・ジェネレーションシステム」
家庭のエネルギー消費は暖房と給湯が大きい
あなたの家の中で一番エネルギーを消費しているのは何でしょう? すぐに思いあたるのはエアコンではないでしょうか。東日本大震災以後、電力不足の懸念から節電が呼びかけられたこともあって「夏場の冷房=エネルギー消費が大きい」というイメージが多くの人に植え付けられているようにみえます。
しかし年間の光熱費から見ると、家庭のエネルギー消費の大半は暖房と給湯によるものです。入浴好きな日本人は、お風呂やシャワーの給湯で使っている割合が大きく、暖房を含めると、家庭のエネルギー消費のおよそ5~6割は熱エネルギーとして使っています。
廃熱エネルギーを有効活用
例えば火力発電の場合、燃料100に対して電気エネルギーになるのは現在の平均で約40です。残りの55は熱エネルギーとして海水へ廃棄され、5は送電にともなうロスです。省エネルギーを考える場合、エネルギーの変換効率を上げ、捨てるエネルギーをできるだけ少なくする必要があります。
コ・ジェネレーションシステム
この問題を解決する方法として注目されているのがコ・ジェネレーション(Co-Generation)システムです。Coは「2つ」、Generationは「生み出す」という意味を表します。何を生み出すのかというと、電気エネルギーと熱エネルギーの2つです。発電をユーザーの近くで行い、その廃熱を同時に使うことでエネルギーの利用効率を高くすることができます。お風呂のお湯は約40℃ですから、廃熱をここで有効利用しようというわけです。
しかし、日本では核家族化がすすみ1軒あたりのエネルギー利用量が小さいためこのシステムの導入は困難です。そこで、マンションなどの集合住宅を対象にしたコ・ジェネレーションを開発しています。熱の利用が夜に集中するのが問題ですが、各家庭に配置した小さな蓄熱器を機能的に利用することでコンパクトなシステムを実現できます。周りの利用状態を考えてお風呂に入ればエネルギー利用効率を高くすることができます。
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神戸大学 工学部 機械工学科 教授 浅野 等 先生
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