世界初のサイボーグ型ロボット:ロボットスーツHAL(R)
衰える身体機能を助けるために
身体の衰えていく速さをゆるめたり、失われた機能を代行したりするための技術の研究開発が行われています。サイバニクスを駆使して研究開発された「ロボットスーツHAL(ハル)(R)」は、人と一体化する技術の一つです。人工物を体の内部に入れると生体防御システムが働き、すべて異物として拒否します。しかしこの技術は、体の内部と外部の境界面である皮膚にテクノロジ(ロボット)を外側から密着させ、人間の意思で人と人工物(ロボット)を一体化して動かす形になっています。
人間とロボットが一体化
人間は神経を通して脳から筋肉に電気信号を伝え、体を動かします。その際、わずかながら皮膚の表面で、人の意思を反映した生体電気信号が検出されます。この技術は、その微弱な信号を腕や脚の皮膚表面に貼ったセンサで読み取り、脚や腕の関節部分に位置するパワーユニットを制御し動かすというものです。制御は腰部にあるコンピュータが行い、装着した人が体を動かそうとする意思に基づき、リアルタイムで筋肉と一体的に関節を動かします。
HAL(R)は、人間の身体機能を増幅・拡張・補助することのできる世界初の装着型ロボットとして注目されています。現在、主に福祉用として病院や福祉施設に導入され、高齢者や脳梗塞などで運動機能がマヒした患者の歩行訓練などに使われています。
未来の人と技術の関係
人間以外の動物は淘汰される中で自らが変化していきます。一方、人間は技術を手にしたことで自らを変化させずに環境を変化させて生きていく方法をとるようになりました。このことは、人間の未来は常にテクノロジとともにあるということを意味します。つまりどのような技術を用意するかによって、人類の未来が変わるのです。
HAL(R)の技術は、人体と一緒になって病状の軽減や身体機能の回復、あるいは生活の質(QOL)の向上につながるものです。未来の人と技術の、適切な関係を作るための基盤としての役割も期待されています。
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