スポーツと農業のコラボレーションで地域の課題を解決!
スポーツで地域を活性化
福島県の浜通り地方にある相双(そうそう)地区は、2011年の東日本大震災で起きた原発事故により多くが避難指示区域に指定されました。現在は居住可能な地域が増えましたが、帰還した人はごく一部です。震災前の活気ある地域をめざして、地域に人が訪れるきっかけを作ろうと自治体や大学は学生とスポーツイベントの開催やボランティアを行っています。
相双地区の海水浴場で復旧作業が進み海水浴場が再開した時、開催されたのがビーチバレーボールのイベントです。継続的に開催しているうちに仮設だったコートが常設になり、参加者やリピーターが増えました。さらに現地の人々と参加者の交流が生まれるなど、地域とのつながりを創出する効果が明らかになりました。
農業とスポーツの連係
また原発事故後、福島県産の農作物に不安を感じる消費者が多く見られました。そこで福島県のプロスポーツチームは県外の試合会場で福島県の農産物を売って安全性をアピールし、その結果、全国のスポーツ観戦者から徐々に農産物への安心感を持ってもらえました。一方でそれら農産物を作る農家の人々がチームのサポーターになり、ファン層が拡大するといった利点もありました。このように農業とスポーツが互いに利益のある関係を築けば、地域活性化にもつながると考えられます。
人手不足を解消できる?
農業とスポーツが抱えている共通の課題が人手不足です。日本では部活動を学校から地域の取り組みに移行する政策が始まっていますが、現実問題として指導者が不足しています。一方で農家もまた後継者や人手不足に悩まされています。そこで、若者が農業をしながら地域スポーツの指導者として活躍する機会が注目されています。自営業の農家は、計画的に農業ができれば余暇時間にスポーツを「する」「支える」ことができると考えられ、さらに国や自治体からの補助金で就農しやすく、一定の生計も立てられます。このように新たな人材活用を形成していくことができれば地域課題を解決できると研究や実践が続けられています。
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先生情報 / 大学情報
福島大学 人間発達文化学類 准教授 蓮沼 哲哉 先生
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