保育や教育につなげる、子どもの記憶や言葉の発達への理解
子どもの証言の信憑性を判断するには
記憶は、あいまいだったり間違っていたりするものです。ただ、子どもが虐待の当事者や事件の目撃者になることも増え、子どもの証言が必要になることもあります。幼児期の子どもたちの証言は、どこまで信憑性があるのでしょうか。
実は、幼児期における記憶の発達過程の研究はまだ十分とは言えません。情報源のモニタリングについて検証すると3歳児は難しいことが多く、4歳児で記憶できる側面が増えていき、5歳児になると大人と同様に記憶できる側面もあります。さまざまな条件や環境での検証が進み、この仕組みが明確になれば、子どもの証言もより適切に扱われるようになるでしょう。
オノマトペは保育に有効か
ところで、幼児期の子どもは、どのように言葉を覚えていくのでしょう。保育の現場では、擬音語や擬態語の「オノマトペ」がよく使われます。
3歳ごろまでは、まだ言葉と意味がつながっておらず、「背中をピンとして」、「おそでをキュッとあげて」などのオノマトペを使うことで、動作が促しやすくなります。そして、年齢が上がるにつれて「背筋を伸ばして」など、オノマトペを使わずに動作を促す機会が増えていきます。また、子どもたちは「シュワっとした匂いがする」など、オノマトペを用いた自由な表現を楽しみます。ただし、「おなかがチクチク痛い」など、体や心の状態はうまく説明や表現できない子がほとんどです。小学校以降で徐々にそのような表現を用いるようになります。
一人ひとりの子どもに寄り添う
このように、人間の心や行動、社会性、認知などの側面が、どのように変化して発達していくのかを解明する分野を発達心理学といいます。発達障害などの子どもの特性においては、幼児期ではわかりにくい部分も多くあります。ただ、子どもたちをよく観察し学問の知見と照らし合わせると特性が見えてくることも多くあります。保育をする際や将来の教育を考える際には、子どもの発達や特性を理解し、その子にとって何が最適なのか考慮することが大切です。
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園田学園大学 ※2025年4月 現・園田学園女子大学より名称変更 人間教育学部 児童教育学科 准教授 近藤 綾 先生
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