資源の少ない日本を、「金属スクラップ」が救う
空き缶のポイ捨てはエネルギーをも捨てることに
空き缶とペットボトル、ガラス瓶は、分けて捨てるのが当たり前になっています。金属缶を、さらに「スチール」と「アルミ」とに分別して捨てるタイプのゴミ箱もあります。これはひとえに、リサイクルの効率を高めるためです。効率の悪いリサイクルはエネルギーの無駄づかいとなり、リサイクル本来の目的を果たさなくなるのです。
省資源・省エネルギーに本気で取り組まなければならない現代、リサイクルに限らず、天然の鉱石から金属を取り出してその純度を高める製錬においても、より効率が高く、有害物質の排出も少ない方法を模索しなければなりません。
少しの工夫で生産性が大幅に向上する可能性も
例えば銅を製錬する際、不純物の混じった銅を酸性の水溶液に浸し、電気を流していったん銅イオンとしてから分離・回収する「電解精製」という方法が使われています。こうした、昔から使われてきた「定番」の手法も、水溶液の流れを制御するなどの改善を加えることで、生産性が大幅に向上する可能性を秘めています。
もちろん、大学の実験室と金属製錬工場とでは、設備の大きさも構造も異なりますから、大学での実験結果が現場では生かせないケースもありますが、「これが定番」という慣例に縛られず、実証実験なども繰り返しながら、研究を積み重ねることで新しい発見があるのです。
素材ごとに、最もバランスのよい抽出法を
「都市鉱山」という言葉が生まれるほど、廃棄家電品に使用されている金やレアメタルのリサイクルニーズが高まっています。同じ家電品でも、使われている材料と回収したい素材は時代とともに変化しますから、リサイクル方法も、常に見直していかなければなりません。レアメタルのみならず、鉄をはじめとするベースメタルを含めさまざまな金属は、私たちの生活になくてはならない素材です。だからこそ、抽出の効率と、それに必要なエネルギーやコスト、有害物質の有無などをすべて考慮し、最もバランスのよい方法を、素材ごとに考えなければならないのです。
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