英語学習者の意欲を高める教え方・学び方

英語学習者の意欲を高める教え方・学び方

英語教育に効果的な教材とは?

英語は世界中で使われており、第二言語として学ぶ人も多いため、母語話者ではない人の英語力をどうすれば高められるのか、応用言語学の研究が行われています。注目されているテーマの一つが、学習者のモチベーションと「オーセンティック教材」の関係です。オーセンティックには「本物らしい、信頼できる」という意味があります。授業でも英語圏の新聞や本など「本場の英語」に触れさせることが、学習者のモチベーションアップにつながると考えられたのです。特に1970年代からオーセンティック教材への関心が高まり、イギリスのメディアでも「効果的だ」と報道されていました。

オーセンティックは人それぞれ

しかし学術的な証拠は少なく、「英語圏のコンテンツならなんでもオーセンティック教材になる」と過度に単純化して考えられていました。本当に正しいのかを確かめようと、英語を学ぶ大学生を対象に実証研究が行われました。その結果、学習者が「これは私にとって意味のある、オーセンティックなテーマだ」と思えなければ、たとえ英語圏のコンテンツを使ってもモチベーションを高められないことがわかりました。

学生の関心を尊重

研究では学生一人一人が興味のあるトピックを持ち寄り、英語で調べて学習する授業が実施されました。調べた内容はプレゼンテーションやディスカッションで発信します。教員は一人一人の関心に向き合い、各自に適したサポートをしました。すると学生は「英語でこのテーマを学びたい」という気持ちを抱き、自然と英語を使って考えるようになりました。また、時間をかけてトピックを発見し、「これこそが自分にとって重要なテーマだ」と実感する過程もモチベーションを高めています。
こうした指導方法は「内容言語統合型学習(CLIL)」と呼ばれており、英語のみならず外国語全般の学習に効果的だといえます。教員が教材やトピックを押しつけるのではなく、学生主体で学ぶことがモチベーションや語学力アップにつながるのです。

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先生情報 / 大学情報

上智大学 文学部 英文学科 准教授 ピナー リチャード 先生

上智大学文学部 英文学科 准教授ピナー リチャード 先生

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応用言語学、外国語教育

メッセージ

他者から与えられたテーマを学ぶのではなく、自分が本当に学びたいことを発見してほしいです。そうすれば、特に意識しなくても自然と勉強に取り組むようになれます。心から面白いと感じるものを探すためにも、大学で学んでみませんか。また、「英語の翻訳は機械に任せておけばいい」と思っているかもしれませんが、自分が話したいことを、機械を媒介せずに英語で伝える体験には、かけがえのない面白さがあるでしょう。英語を自由に使う力は将来あなたの武器になるはずなので、ぜひ興味を持ってほしいです。

上智大学に関心を持ったあなたは

日本初のカトリック大学として開学し、創立当初から国際性豊かな大学として、外国語教育に重点を置いてきました。留学制度も充実しており、世界約80ヶ国に390校以上にも及ぶ交換留学・学術交流協定校があり、コロナ禍の2020年度、2021年度を除き、毎年約1,000人の学生が世界の様々な国や地域へ留学しています。また、少人数教育も本学の伝統のひとつです。教員と学生の距離が近く、また学生同士が率直に意見を交し合う、きわめて理想的な教育環境が整っています。他者を思いやり、社会に奉仕できる人材を育成します。