3D映像で新しい表現の可能性を追究
3D映像撮影の特殊性
3D映像とは、左右の目にそれぞれずらした映像を見せることで立体的に見える効果のあるものです。撮影の仕方も2Dの撮影の仕方とは異なります。左右用の2つの映像を撮影するためには通常2台のカメラを使いますが、まず対象物の大きさ、カメラと対象との距離、撮影する一番遠い所までの距離を把握しておかないとカメラを選べません。例えば、被写体までの距離がごく短い場合、右用と左用のレンズ間の距離も短くなり、2つのレンズがついた一体型のカメラを用いる必要があります。逆に、被写体までの距離が遠く撮影範囲が広い場合、立体感が乏しくなってしまうため、2台のカメラの距離を30メートル以上離して撮影することもあります。
目が疲れないような設計
撮影が終わると編集作業を行いますが、注意点としては右用と左用の2本の映像をコマ単位でそろえて編集していく必要があります。色の違いもないようにしなくてはなりません。なぜなら色味の異なる2本の映像を同時に見ると、目の疲れにつながるからです。右用と左用のずれが大きいほど映像の飛び出し方は大きくなるのですが、目への負担も大きくなるのです。民放連(日本民間放送連盟)では民間の研究所の研究成果などから、左右の視差の安全基準を±2%以下に定めています。
デジタル映像時代の3D映像表現の可能性
3D映像での表現は、いろいろな見せ方の仕掛けができます。例えば、並べた文字を読ませる場合、2D映像だと同一平面上にあるものとして表現されますが、3D映像だと奥行きを表現できるため、読む方向は左から右や上から下だけでなく、手前から奥ということも可能になります。また字幕スーパーを浮かせて見せたり、半透明のレイヤー(映像を重ねて表示する方法)を使って背景と融合させたりと、表現の幅が広がります。この世のすべてのものは3Dなのですから、すべての映像コンテンツにおいてクオリティーの高い再現ができる可能性を3D映像は秘めているのです。
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