身体を動かす+人とのつながりで、元気な高齢者を増やそう

身体を動かす+人とのつながりで、元気な高齢者を増やそう

「身体活動の低下」にひそむ様々な危険

元気に毎日の生活を送っている高齢者がいる一方で、介護が必要な高齢者もいます。その中間に位置し、主に加齢によって少しずつ心身が衰えてきた状態を「フレイル」と呼びます。身体活動の低下や筋力低下などで身体が衰えると、社会や人とのつながりも減少し、気力も衰えると、要介護状態になることもあります。しかしフレイルの徴候を早く見つけて適切に対処すれば、また元気な状態に戻る可能性もあります。研究によって、座っている時間が長い人ほど病気になりやすく、死亡リスクも高まることがわかっています。運動を取り入れたフレイル予防の取り組みが各市町村で活発に行われ、そこでは理学療法士の活躍も期待されています。

週に1度の運動と外出機会はフレイル予防に効果的

高齢者の方が集まって自主的に運動する機会を設けている地域もあります。集まるのは週に1度のペースで、様々な運動を組み合わせて行い、終わった後に持ち寄った軽食を食べながら世間話をするなど、人や社会との交流も生み出しています。こうした地域での取り組みがフレイル予防の効果に表れてきています。外出の予定に合わせて身支度をして、毎日の日常生活にちょっとした変化を与えることは、高齢者にはとても重要なことです。ところがコロナ禍において、こうした活動も中断を余儀なくされました。リモートに切り替えて継続している地域もありますが、今後に備え、ICTを活用した環境整備なども急がれます。

フレイル予防は社会全体の目標

現在、前期高齢者(65~74歳)と後期高齢者(75歳以上)の数はほぼ同じ割合ですが、2030年には1対1.6、2060年には1対2になると推計され、後期高齢者の増加に伴うフレイルや要介護高齢者の増加も予想されています。元気な期間を長く保ち、介護にかかる負担や費用を軽減するためにも、フレイル予防は社会全体の目標として掲げられています。フレイルは早期発見が重要なことから、フレイルの前段階(プレ・フレイル)に着目した研究も行われています。

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東北福祉大学 健康科学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 教授 髙村 元章 先生

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メッセージ

人と話すことがイヤでなければ、理学療法士は誰でもチャレンジできる職業です。しかし高校や大学ですぐに自分の将来の職業を選択することは、なかなか難しいと思います。大学に入る時の動機は必要ですが、入った大学の中で何を学んでいるのか、どんなことに感動し興味を持ったのか、その繰り返しの過程が大事だと思います。進みながら体験しながら、いろいろな選択肢を広げられるのが大学での学びのよい点でもあります。知らなかったことを深く知り、さらに次の興味を自分で見つけることで、あなたの未来はもっと豊かになるはずです。

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