古くて新しい資格、「柔道整復師」とは何か?

古くて新しい資格、「柔道整復師」とは何か?

複雑骨折は折れ方も複雑?

「複雑骨折」と聞いて、あなたはどんな状態を思い浮かべますか? 骨が“複雑”に折れてしまった状態でしょうか。実は、複雑骨折と単純骨折の違いは、身体の外に骨が出ているか、いないかの違いです。つまり、一カ所しか折れていなくても、骨が外から見えていれば複雑骨折、見えていなければどんな折れ方をしていても単純骨折なのです。もちろん骨折の分類はこれだけではありません。骨の状態を正確に判断し、適切な施術を行うのが「柔道整復師」です。

柔道整復師は国家資格

柔道整復師は聞きなれない言葉かもしれません。いわゆる、接骨院や整骨院の先生のことです。骨折や脱臼・ねんざなどのケガを、元の正常な状態に戻すさまざまな技術を「柔道整復術」と言い、その有資格者を柔道整復師と呼びます。柔道整復師は、厚生労働大臣によって与えられる国家資格で、国家試験に合格することが第一条件です。ちなみに柔道整復師が骨折・脱臼の施術を行うには医師の同意が必要ですが、応急処置の場合はこの限りではありません。
似たイメージのものに「整体師」がありますが、これは整体やカイロプラクティックなどに従事する人のための民間資格で、全く別のものです。

あなたがパイオニアになる可能性が!

ところで、なぜ整復師ではなく「柔道整復師」というのでしょうか? それは、もともと柔道(柔術)の道場で行われていたケガ人の手当てから編み出された治療技術だからです。日本古来の柔術の活法が発展したもので、柔道整復術が国に公認されたのは大正9(1920)年のことでした。
柔道整復術は日本の伝統医術なのです。しかし、伝統があるだけに“積み重ねた経験”が多くモノを言う分野でした。国家資格になったのは平成に入ってからで、現在、大学も数校できて学問として発展しつつあります。ですから、これからこの分野に進む若い人たちが、パイオニアになる可能性が大いにあるのです。

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先生情報 / 大学情報

関西医療大学 保健医療学部 ヘルスプロモーション整復学科 教授 髙岸 美和 先生

関西医療大学 保健医療学部 ヘルスプロモーション整復学科 教授 髙岸 美和 先生

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保健医療学、柔道整復学

メッセージ

接骨や整骨を行う国家資格である「柔道整復師」は、決して楽にとれる資格ではありません。解剖学や生理学、病理学など西洋医学の基礎を学ばなければならず、4年間みっちりカリキュラムが組まれます。柔道整復師を天職と考え、まじめに取り組める人に学んでほしいと思います。
また努力が実って資格が取れたとしても、現場では個々に応じた応用力が必要になります。患者さんにはいろいろな人がいますから、コミュニケーション力や説明力も大切です。「人を好きになること」、これが柔道整復師になる第一歩なのです。

関西医療大学に関心を持ったあなたは

関西医療大学では「看護師」「保健師」「助産師」「理学療法士」「作業療法士」「臨床検査技師」「はり師・きゅう師」「柔道整復師」の国家試験全員合格をめざし、2学部6学科の学生が同じキャンパスで学んでいます。学科の枠を超えた交流を通して、異なる職種・業種への理解が深まり、チーム医療に携わる者としての素地が培われます。『現役プロがプロを育てる大学』関西医療大学は、学生一人ひとりに目を配り、全員を高いレベルのプロに育て、様々な医療現場から高評価を得る人材育成を実現しています。