「不器用だから」とあきらめない 作業療法士による子どもの支援
子どもの支援に関わる作業療法士
子どもには成長する過程で「つまずき」が見られることがあります。その1つに「不器用さ」があります。例えば、字がうまく書けない、ハサミを使えない、縄跳びができない、うまく走れない、などです。手足の麻痺といった障害はないので、単に「不器用」だと見過ごされることもあります。しかし、不器用なことでいじめられる子、自信をなくして不登校になる子もいます。そこで学校で楽しく生活できるよう、作業療法士は子ども達の支援を行っています。作業療法士といえば病気やケガをした人対してリハビリを行う仕事とイメージされていますが、近年は子どもを対象にした保育園や学校などの中で支援が出来る事で注目されています。
不器用さの背景を探る
子どもの不器用さの要因は多様です。作業療法士は主に「自分の身体の地図があいまい」「動きのイメージが苦手」「動きのプログラミングや力の加減が苦手」と3つの視点で不器用さを捉えています。不器用の背景は要因が1つの場合もありますが、重なり合っているなど一人ひとり違います。個を尊重した支援が必要になってくるのです。ハサミを上手に使いたい、上手に走れるようになりたい、という子どもの気持ちに寄り添った指導は、「自分にもできた!」という自信につながります。子どもの内なる好奇心を目覚めさせ、壁を乗り越える力になります。
遊びを通して経験を重ねる
不器用の背景には経験不足なども影響しています。粘土を触ることが嫌いな子は、粘土をこねたことがありません。人との関わりが苦手な子の背景には、誰かに触れられて過敏に反応する子や、まったく反応をしない子がいます。感覚や刺激に対する偏りがある子が多いのです。そこで作業療法士が、遊びを通して様々な経験や遊びのコツを支援します。そして「楽しい」をたくさん経験することで、チャレンジする気持ちを育てています。その積み重ねが自己効力感につながります。子どもの行動の背景を意味づけし、保育や教育現場、家庭と連携することでより子どもの成長につながるのです。
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先生情報 / 大学情報
東北福祉大学 健康科学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻 准教授 小野 治子 先生
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