持続する力を育むサステイナビリティ教育のあり方
教育というゴール
SDGs目標4は教育に関する項目です。教育の国際比較では日本はトップレベルにあり、達成には問題ないように思えるかもしれません。しかし、その中身は「持続可能に値するのか?」という意識が大切です。教育はSDGsの他項目を下支えする役割もあるからです。サステイナビリティ教育により、課題解決の担い手である人・社会・環境をサステイナブルにする必要があります。
サステイナビリティの意味
現在「サステイナビリティ」の和訳としては、「持続可能性」という言葉が使われています。しかし、この和訳は客観的なようで、できる人がやればいいという考えを誘発しかねません。また、「可能性」の意味合いから持続させる可能性をどう担保するかに焦点が当たってしまい、エコバックを使い、地産地消をするといったレベルに留まりがちです。「サステイナビリティ」の語源を考えると、「sustain/支える」に「ability/力」が接続された言葉なので、「支える力」という主体性の意味があるのです。つまりサステイナビリティとは、私たち自身と社会を持続させるための力を各自が発揮できることになります。
生涯学習
学習指導要領には「持続可能な社会の作り手の育成」が明記され、サステイナビリティ教育が進められています。しかし、日本の人口に占める0歳~15歳は約10%であり、その層だけを教育したとしても社会全体が持続可能にはなりにくいです。学校を卒業した成人世代にもサステイナビリティ教育は必要で、そのため政府が進める「リカレント教育」よりも、一人ひとりが生涯学習を進めることが重要です。ここで注意すべきは、生産性向上を目的とした競争的なものではなく、各自が好きなことを追求する点です。それぞれがサステイナブルであれば、社会も持続可能になります。
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上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科(SPSF) 教授 丸山 英樹 先生
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