講義No.12265 教育

持続する力を育むサステイナビリティ教育のあり方

持続する力を育むサステイナビリティ教育のあり方

教育というゴール

SDGs目標4は教育に関する項目です。教育の国際比較では日本はトップレベルにあり、達成には問題ないように思えるかもしれません。しかし、その中身は「持続可能に値するのか?」という意識が大切です。教育はSDGsの他項目を下支えする役割もあるからです。サステイナビリティ教育により、課題解決の担い手である人・社会・環境をサステイナブルにする必要があります。

サステイナビリティの意味

現在「サステイナビリティ」の和訳としては、「持続可能性」という言葉が使われています。しかし、この和訳は客観的なようで、できる人がやればいいという考えを誘発しかねません。また、「可能性」の意味合いから持続させる可能性をどう担保するかに焦点が当たってしまい、エコバックを使い、地産地消をするといったレベルに留まりがちです。「サステイナビリティ」の語源を考えると、「sustain/支える」に「ability/力」が接続された言葉なので、「支える力」という主体性の意味があるのです。つまりサステイナビリティとは、私たち自身と社会を持続させるための力を各自が発揮できることになります。

生涯学習

学習指導要領には「持続可能な社会の作り手の育成」が明記され、サステイナビリティ教育が進められています。しかし、日本の人口に占める0歳~15歳は約10%であり、その層だけを教育したとしても社会全体が持続可能にはなりにくいです。学校を卒業した成人世代にもサステイナビリティ教育は必要で、そのため政府が進める「リカレント教育」よりも、一人ひとりが生涯学習を進めることが重要です。ここで注意すべきは、生産性向上を目的とした競争的なものではなく、各自が好きなことを追求する点です。それぞれがサステイナブルであれば、社会も持続可能になります。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科(SPSF) 教授 丸山 英樹 先生

上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科(SPSF) 教授 丸山 英樹 先生

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総合グローバル学、比較・国際教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

「ほかの人と一緒でないとだめ」「ほかの人にどう見られているか気になる」という気持ちは私もよくわかります。しかし世界にあなたは1人しかいません。代わりのいないユニークな存在なのです。一方で、国境に関係なく他人と共通する部分も持ち合わせています。育った環境や国民性の違いなどはあっても、共感できることや似ていると感じる部分があるかもしれません。同じ部分もあるけれど違いもある、といった矛盾した存在が人間だと思います。この矛盾に魅力を感じると、学生生活も人生も楽しくなると思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

上智大学に関心を持ったあなたは

日本初のカトリック大学として開学し、創立当初から国際性豊かな大学として、外国語教育に重点を置いてきました。留学制度も充実しており、世界約80ヶ国に390校以上にも及ぶ交換留学・学術交流協定校があり、コロナ禍の2020年度、2021年度を除き、毎年約1,000人の学生が世界の様々な国や地域へ留学しています。また、少人数教育も本学の伝統のひとつです。教員と学生の距離が近く、また学生同士が率直に意見を交し合う、きわめて理想的な教育環境が整っています。他者を思いやり、社会に奉仕できる人材を育成します。