学校だけではない、いろいろなところにある教育学への扉
学校だけが教育の場ではない
「教育」というと学校をイメージするかもしれませんが、教育学は哲学を源流にもち、「よく生きるためにどうしたらいいか」を考える学問です。ですから、必ずしも学校だけが研究対象とは限りません。例えば、風邪をひいて病院に行って「今日は暖かくして早く寝なさい」と言われれば、大概の人はそうするでしょう。これもひとつの教育なのです。
とはいえ、学校はここ200年ほどの間、効率のいい教育システムを実践する場としてできあがってきたので、教育学は長い間学校を主たる研究対象としてきました。
教室で先生の教え方を見てみよう
高校は、国が定めた学習指導要領に沿って、授業のカリキュラムを組みます。さらに、大学進学者が多いかどうかなど、どういう生徒に教えるかによっても授業の組み立てを考えます。しかし試験対策ばかりでは、例えば数学の美しさは伝わりません。担当の教科に深い関心を寄せている先生ほど、このように、受験勉強以外に伝えたいものをもっていて、それを伝えるためにいろいろな方法を考えています。
授業がわかりやすい先生とそうでない先生がいるとしたら、なぜわかりやすいのか、反対になぜわかりにくいのか、そしてどう教えたらわかりやすくなるのかを考えてみることが、教育方法の研究につながっていきます。
社会に出てからの教育
教育学では、1990年代から生涯学習というテーマが取り上げられるようになりました。教育は学校教育では終わらないという考えが広まったためです。
生涯学習で重要なのが「自己教育力」です。自己教育力とは、わからないことがあったらすぐに調べたり人に聞いたりして疑問を解消する力です。自己教育力の高い人にとって、「わからない」という状態は居心地が悪いのです。好きなことでも仕事でも、自己教育力は重要です。
このように、どこにでも教育はあるのです。それを歴史や心理学、社会学などさまざまな学問の手法を使って研究するのが教育学なのです。
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先生情報 / 大学情報
筑波大学 人間学群 教育学類 教授 大谷 奨 先生
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