俊輔選手の後継者を育てたい

俊輔選手の後継者を育てたい

ポジショニングが大事

サッカーをプレイするとき、ポジショニングや視野の確保はとても重要です。特に中盤の良い選手は、ボールが来る前に良い視野を確保できることが条件だと言えるでしょう。日本代表チームの試合を見ていても、かつての中村俊輔選手や遠藤保仁選手は視野が広くてうまいと感じられます。彼らのプレイに憧れる人も多いのではないでしょうか。
良い視野を確保するためのポジショニングは、指導が難しいところでもあります。試合中でなければ実際の視野は開けないからです。部活動などでは、よくボードを使って動きを指導しますが、平面だとなかなか実際の動きが想像しにくいものです。では、3Dの画面を使ったらどうでしょうか。「こういう動きをすれば、こういった視野が確保できる」と3Dの映像でシミュレーションすれば、コーチの意図が選手に伝わりやすくなり、ポジショニングの指導に大いに役立つことでしょう。

サッカー指導のためのソフト開発

実際は、次のような研究が行われてきました。まず、センタリングが上がったときなど試合中の状況を、いくつか実際にプレイしてもらって撮影します。そして、その映像を3Dのアニメーションにするのです。選手は視野を疑似体験できるので、試合中の動きがイメージしやすくなるでしょう。
このアイデアは指導者に好評でしたが、CGをつくるのには大変な時間と労力がかかります。最近のテレビゲームのCGは質が高く、子どもたちもCGを見る目が肥えています。あれほどのCGをつくるのは非常に難しいため、残念ながら広く実用化されるまでには至っていません。
サッカーと工学という組み合わせは、なかなか結びつかないかもしれません。しかし、良いサッカー選手を育てたいという思いで、このような研究が行われることもあります。実際のピッチでプレイするのとは随分違いますが、こんなサッカーへのアプローチ方法もあるのです。

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東京工業大学 大学院社会理工学研究科 人間行動システム専攻 教授 室田 真男 先生

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メッセージ

あなたは、大学で何をしたいですか? この質問に答えられる人は多くないかもしれません。でも、大学は自分のしたいこと、かっこよく言えば「夢」を実現する場です。まずは、自分が何をしたいのか徹底的に考えてみましょう。インターネットを使えば、さまざまな研究成果を調べることができます。テーマは無限にあります。そして、テーマが見つかったら、あとは努力するのみです。自分の好きなことなら努力は苦にならず、真の楽しみを見つけられることでしょう。

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東京工業大学は、1881年の創立以来理工系総合大学として時代を切り拓いてきました。2016年には、大隅良典栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞するなど世界トップレベルの研究を行う大学として高い評価を受けています。現在、本学は日本初となる学部と大学院を統合した「学院」を設置するなど、大きな改革に取り組んでいます。学生が自らの興味に基づいて体系的に学べるカリキュラムを用意するとともに、全ての人がベストパフォーマンスを発揮できる教育・研究環境を実現して、よりよい未来の創造に貢献する人材を育てます。