親しい人に拒絶された! 人の心はどう動き、どう関係を修復する?
親しい相手に拒絶される
恋人や友人といった親しい人との関係も、常にうまくいくとは限りません。ときには相手から拒否されたり、互いの考え方が合わずに関係が危うくなったりする事は誰にでも起こり得ます。相手と意見が衝突して揉めてしまう、自分のLINEのメッセージが既読スルーされるなど、相手に「拒絶された」と感じ、自分への自信を失ってしまうという状況は日常生活の中にたくさん存在します。そんな事態に直面したとき、人間の心はどのように働いて、関係を維持しようとするのでしょうか。
心について研究する
心理学では、人の心と行動について、特定の個人ではなく、全体的な傾向を掴もうとします。そのために、例えば数百人規模のアンケート調査を行います。調査では、「通学路で出会った友人に挨拶をしたが無視された」といったシーンを提示し、そのときにどんな気持ちになり、どんな行動をとるのかを数値化するための質問項目に答えてもらいます。また、その友人との関係性を数値化するための質問も行い、友人との関係性とその人から拒絶されたときの感情や行動との関連について、統計的な分析を行います。研究では必ずしも想定した仮説に沿った結果が得られるとは限りません。しかし、思わぬ結果が次の研究につながる点は、人間の心という複雑なものを対象とする心理学ならではといえます。
つらい思いの意味を考える
親しい関係にある相手から拒絶され、自分の自信を失うようなネガティブな経験は、誰もが避けたいものですが、ネガティブな感情にも働きがあると考えられます。例えば、長期にわたって自信を失うような状況は別として、誰かに拒絶されたことで一時的に自信を喪失することで「このままではだめだ」という気持ちが生まれます。その気持ちは親しい相手との関係を修復しようという行動につながる場合があります。「人間関係の中でのつらい思いがどのような心の働きによって生まれているのか」といった視点を、学問的な裏付けをもとに私たちにもたらしてくれる点も、心理学の意義の1つです。
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学習院大学 文学部 心理学科 准教授 宮崎 弦太 先生
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