健康のために強化したい機能とは? 人生100年時代への備え方

健康のために強化したい機能とは? 人生100年時代への備え方

選手は強くなるため、高齢者は健康でいるため

競技スポーツ選手は、指導者の指導のもとで、もっと強くなるために練習に励みます。そのために、効果的な練習メニューを組みます。そして、スポーツ選手だけでなく、世の中には健康増進のために組まれた運動メニューに取り組む人たちがいます。高齢者の方々です。もちろんスポーツ選手のように強くなるためではありません。医師や保健師の指導の下で、身体能力と認知機能の向上、または維持のために取り組んでいるのです。

体を使う、頭も使う

高齢者向けの運動の目的は、その人の健康が維持されて、その結果、幸せに人生を最期まで生ききってもらうことです。そのための運動メニューは、スポーツ選手のような激しい内容である必要はありません。ポイントは、自発的に体を動かしてもらうこと、そして頭を使ってもらうことです。例えば、指導者が行った動きをそのまま真似てもらう運動は、体を動かすとともに記憶力を鍛えます。また、決められたマス目に順番に足を置いていくステップ運動では、その場で足踏みするより、ぐっと太ももを引き上げる必要があり、そこが鍛えられた結果つまずきにくくなります。身体能力の向上が期待できると共に、「右足はここ、次に左足はここ」と考えるので、認知機能のレベルもぐんとアップします。

重要なのは健康寿命

高齢者の運動のポイントは、一人でなくみんなでワイワイ楽しんでやることです。地域の人たちと一緒にやれば、会話と笑いが生まれ、感情が動き、コミュニケーションの輪ができます。また互いに教え合い、励まし合う行為も適度な刺激となり、社会性を育みます。これを地域のコミュニティセンターなどで定期的に行えば、その地域の活性化が期待できるでしょう。
医療が発達し、これからは人生100年時代といわれます。特に高齢者が多い日本で健康で幸福に暮らすには、体力と認知機能の維持が大切です。重要なのは、単に長寿なだけでなく、健康寿命なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

鹿屋体育大学 体育学部  教授 中垣内 真樹 先生

鹿屋体育大学 体育学部 教授 中垣内 真樹 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

老年体力学、健康運動方法学

先生が目指すSDGs

メッセージ

やりたいと思ったことは、あなたが納得のいくまでとことんやりましょう。むしろ「没頭」してください。私は学生の頃、陸上の長距離選手として、競技にとことん打ち込みました。その経験があるからこそ、今も研究活動に没頭できています。何か一つのことをやり遂げた経験は、その後違うものに関心や興味が移ったとしても必ず生きてきます。そして現在、アスリートとして自分の体と向き合っている人は、高齢者の体作りにも向き合える下地があると言えます。興味があるなら、ぜひ一緒に学びましょう。

先生への質問

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鹿屋体育大学は、国立唯一の体育大学として、我が国のスポーツや武道、及び体育・健康づくりについての、教育と研究を発展させる使命をもった大学であり、その成果をもとに「実践的かつ創造的で、国際性、市民性を備えた、スポーツや武道のリーダー的人材の養成」を目的としている大学です。また、学ぶべき学問領域の基盤としてスポーツ人文応用社会科学系、スポーツ武道実践科学系、スポーツ生命科学系の3領域からなる、多様な教員組織を構成することで、スポーツや武道、及び体育、健康づくりに関する教育と研究の充実を図っています。