万能なストレス解消法はない? 大事なのは方法を模索すること

万能なストレス解消法はない? 大事なのは方法を模索すること

万能なストレス解消法は無い

温泉は「心の健康にいい」と言う人がいます。そこで事前にストレスチェックを実施し、温泉に入った後、どれくらいストレス度が下がっているかをチェックする調査が行われました。その結果、軽度のストレスを感じている人なら温泉で回復するものの、一定のストレス基準を超えた人だと温泉だけではケアしきれず、専門的なケアが必要となることがわかりました。同様に、カラオケや筋トレなど「ストレスに効く」と言われていることはいくつもありますが、それらを取り入れてストレスが回復するかどうかは人や状況によります。Aさんに効果的な方法だったからといって、Bさんにも効くという保証はありません。

実践してみて効果的な方法を探る

気を付けなければいけないのは、一度の試みで「この方法は合わない」とすぐに決めつけないということです。例えば、ある人が一度温泉に入って変化がないからといって「温泉はストレス緩和に効果がない」と断定はできません。温泉といっても観光地にある温泉と山奥にある秘湯ではまったく条件が異なりますし、温泉に含まれる成分や浴場の広さなど、さまざまな側面から試してみる必要があります。ストレスを抱える人にとって最善の方法を、その人の話を聞きつつ模索していくことは、心理カウンセラーの重要な仕事です。

個人の性格や状況で、対策は異なる

人間関係のストレスを解決する場合も、人それぞれ対処法が異なります。同じように学校の人間関係で悩む人がいても、Cさんの場合は「ストレスを感じる相手とどううまく付き合っていくか」、Dさんの場合は「どうすれば上手に相手と距離が取れるか」と、それぞれの性格や状況によって取るべき対策は違ってきます。相手と距離を取るべきDさんと、うまく付き合っていく方法について相談してもかえって状況は悪化してしまいます。まずその人を理解し、その人に合った対策を見つけ出すためにも、心理カウンセラーはしっかりと相手の話を聴いているのです。

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宇部フロンティア大学 心理学部 心理学科 准教授 桝本 俊哉 先生

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臨床心理学

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メッセージ

海外の文化と日本の文化、両方に触れて、さまざまな価値観や考え方に出会ってみましょう。海外の文化に触れるなら海外に行くのが一番ですが、映画、芸術、音楽など海外で作られたものを体験するのも良いです。日本の文化なら、茶道や華道、昔話など古くから日本にある文化をお勧めします。また、これらの文化と「出会う」ためには、友人や家族と一緒にではなく、1人で体験すると良いでしょう。誰かと一緒に体験すると「出会い」よりも「思い出作りや楽しみ」が目的になりやすいからです。

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宇部フロンティア大学は明治36年創立の伝統を誇る学校法人香川学園が母体で現在、幼稚園、中学校、高等学校、短期大学部、大学、大学院、大学院附属臨床心理相談センター、大学附属文京クリニックおよび宇部環境技術センターからなり、山口県の教育・研究の一大拠点として地域への人材供給を含む地域貢献に取り組んでいます。大学では、学園の創始者(香川昌子)の教育精神である「人間性の涵養と実学重視」を建学の精神とし、「あなたらしさを仕事力に」というキャッチコピーを掲げて、一人ひとりの個性を重視した教育を行っています。