母親だけじゃない? 実は身近で対象が広い「母性看護学」

変わってきた出産育児の環境
時代とともに出産育児を取り巻く状況が変わってきました。例を挙げると、出産を控えた妊婦の体重が減少してきたことです。若い女性の「やせ」の割合が高くなっているという背景がありますが、母親の体重が少ないと産まれる赤ちゃんの体重も少なくなる傾向があります。またSNSなどでは、母乳で育てることが、実際以上に「大変なもの」と伝わっているようにも思われます。リズムができてくるまでは大変な時期もありますが、母乳には赤ちゃんの免疫力を高める機能もあります。母乳とミルクのメリットとデメリットを考えてみることが大切です。
妊娠中の体の使い方、育児の基本を学ぶ
さらに近年は出産育児の教室に、夫婦で参加する人たちも増えてきました。教室では、例えば妊婦の体の使い方として、物を拾う時は腰を痛めないように一度しゃがんでから拾う方法を伝えます。この時、父親にも重さ7キロの妊婦ジャケットを着けてもらい、妊婦の生活を体験してもらうこともあります。また、赤ちゃんに触れたことがない、という人々も多くなっています。そのため、何が正常で何が異常なのかという基本から、抱っこやお風呂の入れ方など日常の育児方法も学びます。事前に知っておくことで安心感が得られ、赤ちゃんを楽しみに待つ気持ちが生まれてくるのです。
家族・社会全体で子どもを育てる
これらの知識や技術の指導にあたるのが看護や医療分野の専門職で、その根幹となるのが「母性看護学」です。母性と名が付くため妊娠・出産・育児をする母と子が対象と思うかもしれませんが、決してそれだけではありません。次世代の子どもたちを健康に育てるためには、乳児の母親・父親・祖父母などの家族や地域社会のサポートが欠かせないので、そのすべてが対象です。また将来、健全な出産をするために、思春期の月経不順・望まない妊娠・性感染症などに対して、その本質を学び、対処方法を考えることも含んでいます。これらの問題は、高校生にとって決して縁遠いことではありません。
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