妊娠時の変化を見える化! 超音波で自分の身体を知る
妊娠・出産で活躍するエコー
医療の現場で利用されている超音波検査(エコー)は、超音波を身体にあてて臓器などから跳ね返ってきた超音波を映像化し、体内の様子を調べるというものです。レントゲン検査やMRIに比べて、患者の身体にかかる負担が少ないというメリットがあります。これまでに高齢者看護の分野で活用されてきていますが、最近では女性の健康や妊娠・出産にかかわる「助産学」や「母性看護学」という分野での活用も注目されています。妊娠中の胎児の観察だけでなく、母乳を作る乳腺の発育や、産道を通る赤ちゃんの回転など、問診や視診、触診だけでは分からない変化を観察することができるのです。
エコーによって「見える化」
妊娠・出産によって女性の身体に起こる変化として排尿トラブルがあります。出産直後は一時的に尿意をつかさどる神経が鈍くなり、ぼうこうに尿がたまっていても尿意を感じにくくなります。出産後の排尿は子宮の回復のためにも重要であるため、看護師は、ケアとしてトイレに行くことを促します。しかし、出産後の母親に尿意をたずねても、尿がたまっているのかどうかはわかりにくいことがあります。そこで、エコーを使うと尿がたまっているかどうかが「見える」ため、ぼうこうに尿がたまりすぎないよう、適切なタイミングでトイレに行くことを促すことができます。
主観に加え、エコーで客観的に「見る」
妊娠・出産時は、患者自身が感じたことや看護師が見たり触れたりして観察した「主観」的な観察が多いです。しかし、それだけでは把握しきれない身体の変化があります。そういった場合にエコーを使えば、身体の内部の様子が可視化され、客観的に状態の把握ができます。産後は、出産で疲れていると「トイレに行きましょう」と言われても、尿意がないと気がすすまないこともあります。ですが、エコーで尿がたまっているとわかるとトイレに行く方もいます。エコーで客観的に身体の中が見えることは、患者にとっても自身の身体の状態を理解し納得してケアを受けることにつながります。
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先生情報 / 大学情報
富山県立大学 看護学部 看護学科 母性看護学 講師 北島 友香 先生
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