先手を打つ取引とは リスク回避を目指す金融工学・数理ファイナンス
ファイナンスにおける数理的「技術」とその屋台骨
株のように高いリターンが見込まれるがリスクもある資産を運用する人、輸出入に関わる企業で働く人は、常に証券や為替の動きに注意しなくてはなりません。値が上がったり下がったりするからです。これらのことに関わる人だけでなく、多くの人にとって、お金に関わる将来の不確実性は重大な関心事でしょう。金融工学や数理ファイナンスでは、このような将来の不確実性に立ち向かうための術を与えます。金融工学は、ファイナンスにおける具体的な数理的「技術」を提供し、それを正当化するための数学的な屋台骨を作っているのが数理ファイナンスです。
金融工学・数理ファイナンスでリスクを回避
金融工学や数理ファイナンスは、よくありがちな誤解である「お金儲けの学問」ではないですし、また「将来予測をする学問」とも少し違います。金融工学や数理ファイナンスで目指しているのは、リスクを回避する方法・リスクを削りにいく方法を得ることです。例えば、「資産運用をする際に、何をどの程度保有すればリスクを削減しながらパフォーマンスを上げられるのか」、あるいは「株や為替が上がっても下がっても、どんな将来シナリオが来ても損をしないように先手を打つ方法はあるのか、あるならタダではないはずだがそのコストはどの程度か」、こういうことを金融工学や数理ファイナンスでは考えます。
「具体的な値」により速く正確に計算する
前段で「何をどの程度保有すれば」・「先手を打つ方法」・「コストはどの程度か」と述べましたが、学問を通じて理論的なことがわかっても、実務で実践するには具体的に値が得られないと意味がありません。さらに、現実の金融ビジネスの問題なので速く正確に値を得る必要があります。また、リスクの見積もりに誤りがあったり、見積もりが単純すぎたら具体的な値が得られても意味がありません。このような問題に対して、確率モデリングと確率数値解析が重要な役割を果たします。
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先生情報 / 大学情報
一橋大学 経済学部 経済学科 准教授 山田 俊皓 先生
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