「社会連携」から生まれる、人の暮らしと人生を支える新しい医療

医療×地域社会の連携が生む新しい価値
チーム医療を病院の外で行うことを「連携」といいます。在宅での医療・介護を支えていくには、多機関・多職種の連携が欠かせません。医師を中心として看護師、介護士、栄養師などさまざまな人々が集まってコミュニティを作り、関係を深めることで地域医療の提供を円滑にしています。今、「医療や介護だけでは、人の暮らしや人生を支えていくことは難しい」と気づいた人々が取り組み始めているのが、地域の民間企業やさまざまな専門分野の人々と手を結ぶ「社会連携」です。医療×地域社会の連携で、単独では得られない新しい価値を生み出しています。
人の暮らしと人生を支える挑戦
のどにつまりにくい餅、とろみがあって舌の上で味わえる酒などは、食べ物を飲み込む力が弱まる「嚥下(えんげ)障害」があっても食べる楽しみを持てるようにと、医療従事者が食のプロに呼びかけて開発された嚥下食です。嚥下食で作られた懐石料理の試食会に、脳梗塞を患ってから食べることが難しくなった妻と、介護者の夫が訪れました。おいしい、おいしいと食べる妻を見守っていた夫は、「ごちそうさま」の声を聞くなり号泣し、「食事の時間は私たちにとって苦痛でした。またこんな時間が持てるなんて」と声を震わせました。飲み込みやすい嚥下食、おいしい懐石料理だけでなく、「もう二度とないとあきらめていた、夫婦で食事を楽しむ時間」を提供できたのです。
進んでいる医療って、どんな医療?
AI診断やロボット手術は最先端の医療ですが、それだけが進んだ医療でしょうか。ある病院は「また来てねと言える病院」をめざして、地域の人々の居場所づくりに取り組んでいます。病院と自治体とが協力して公園を作ったり、地元の商店街でカフェを運営したりする「病院まちづくり」も始まっています。病院と地域社会の連携も、人々の暮らしと人生を支える「進んだ医療」の形です。今後はもっと、人々の暮らしやまちの方へと近づいていく医療が増えるでしょう。
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