海洋廃棄物から抗アレルギー物質!? 機能性候補成分を探せ

健康効果が期待できる機能性表示食品
「ストレスを緩和する」「おなかの調子を整える」など、健康効果が表示された食品が売られています。「機能性表示食品」といい、そのような効果のある成分が含まれている食品です。メーカーが安全性と機能性に関する科学的根拠を国に届出すると表示することができます。
食品成分が体内でどのように働き、健康にどう影響するかを研究する学問分野を「食品機能学」といいます。機能性表示食品として利用できる成分の開発が求められていることからも、この学問が注目されています。
アレルギーを抑える機能性食品の開発
アレルギーには、「マスト細胞」が関わっています。花粉など特定の物質に対するアレルギーをもっている人は、そのアレルゲンに対応する「IgE抗体」がマスト細胞に結合しています。マスト細胞上のIgEがアレルゲンと反応して、マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなど炎症を起こす物質が放出されるのです。
現代病とも言えるアレルギーを抑える食品成分の探索・作用メカニズムの解明も、食品機能学の大きな関心分野です。花粉症の症状を緩和するお茶が機能性表示食品として発売されていますが、お茶に含まれるポリフェノールの一種であるメチル化カテキンにアレルギーを抑える効果があるのです。
海洋廃棄物由来リン脂質がアレルギーを抑える!?
機能性をもつ有効成分は、健康に効果があると昔から伝えられている薬草や食品から探すことも多いです。一方、食品の製造・加工工程で出てくる廃棄物を有効活用しようという動きもあります。
例えば、海洋廃棄物であるヒトデやイカの皮から抽出されたリン脂質を酵素処理したものが、ロイコトリエンの産生・放出を抑える働きがあることが見いだされています。
今後は、どのようなメカニズムでロイコトリエンの産生・放出を抑えているのか、詳しい作用メカニズムの解明が行われ、アレルギーモデル動物や花粉症の患者で実際に効果があるのかを調査して、サプリメントなどへ応用されることが期待されます。
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