人の心を数値化できれば、企業は元気になる?

人の心を数値化できれば、企業は元気になる?

ユーザーの心を動かす

現代のビジネスの世界では、良い製品を提供するだけではなく、ユーザーの心を動かすことが求められています。販売店ではよく、店内のレイアウトやポスターの貼り方を工夫して顧客の興味を引きくことで、商品へと誘導しています。また、例えばスマートフォン売り場の場合、連動するスマートスピーカーを隣に置いて「触ってみよう」と思わせたり、カバーやフィルムなどの関連製品を周りに配置して「かたまり」として認識させ、より魅力的に感じさせたりもしています。こうした、人の心の動きを捉えたマーケティング手法には、心理学や感性工学といった学問の理論が応用されています。

人の気持ちを数値化する

人間の気持ちを知ることは難しいですが、これまでの研究で、「何を魅力的に感じるのか」を測るためにさまざまな手法が提案されています。例えばあるイベントをPRするとき、観客に「イベントに行きたい」と思ってもらうことが重要です。そして、そう感じてもらうためには、「イベントの日付を覚えている」「面白そう」「自分に関係がある」などを感じてもらう必要があるでしょう。これらの気持ちはアンケート調査をすることで数値化が可能です。気持ちを数値化し、変数間の関係性を明らかにすることで、イベントに行きたくなってもらうためにはどうすればいいのか、ビジネスにおける施策を決定することができます。

「低コストで」「簡単に」「早く」心を知る手法

製品やサービスに関わるユーザーを理解するための調査、「ユーザーリサーチ」を行うには一定の費用が必要です。大企業はそこに十分な費用を投じることができますが、中小企業にとっては困難な場合もあります。今後研究が進み、「低コストで」「簡単に」「早く」ユーザーの心を知る手法が確立されれば、資金力で劣る企業でも、大ヒット商品を開発する可能性が高まるでしょう。中小企業は日本の企業の8割を占めるといわれていますから、そうなれば日本の企業はより元気になるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

宮城大学 事業構想学群 事業プランニング学類 准教授 安藤 裕 先生

宮城大学 事業構想学群 事業プランニング学類 准教授 安藤 裕 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

心理学、感性工学、UX、ユーザビリティ

先生が目指すSDGs

メッセージ

人の心について知りたい、大学で勉強したいと考えているなら、今のうちから心の敏感さ=センシティビティを大切にし、いろいろな事に関心を持って生活してみましょう。例えば目の前で起こった出来事によって、自分や周りの人の心がどのように動いたのかを観察し、メモしておくこともおすすめします。「誰が」「どういう文脈で」「どうなったのか」「そのときの感情」「その原因」といったことを記述するトレーニングを積んでおけば、将来科学として人の心を扱う上で大きな助けになってくれるはずです。

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宮城大学の建学の理念は、「ホスピタリティ精神とアメニティ感覚に溢れ、高度な専門性と実践的能力を身につけた、地域の発展をリードし、世界に貢献できる人材を育成するとともに、学術・文化の向上と豊かで活力のある地域社会の形成に寄与する」です。「看護学群」「事業構想学群」「食産業学群」の3つの学群で構成されており、私たちの生活を取り巻く、「医療」、「ビジネス」、「食」の3つの分野をそれぞれの学群で学ぶことができる公立大学です。「いま」を生きる知恵を磨く、最適な大学を目指して日々改革に取り組んでいます。