講義No.12487 食物・栄養学

おもしろテクニックで高機能チョコレートや低アレルゲン化の食品を!

おもしろテクニックで高機能チョコレートや低アレルゲン化の食品を!

機能性チョコレートの開発

食べ物には健康に影響を及ぼすさまざまな成分が含まれています。健康機能性の高いポリフェノールもその一つで、お茶やチョコレートに含まれるカテキンはポリフェノールの一種です。カテキンは単量体の状態よりもカテキン分子が重合した重合体のほうが機能性が高いと言われています。そこで、チョコレート中のカテキンを重合化することで、チョコレートの健康効果を高める研究が進められています。

チョコレートの製造過程でカテキンを重合化

現在はまだ実験の段階ですが、将来的にはチョコレートの製造過程の中でカテキンを重合化することをめざして研究が行われています。一般的なチョコレートの製造には、カカオ豆を24時間すりつぶす工程があります。この工程で、あらたな素材を加えたり、温度や時間を調整したりすることで、カテキンの重合化を進められるのではないかと考えられています。

エビアレルギーでも食べられるエビせんべい

健康に役立つ食品成分がある一方で、「アレルゲンタンパク質」のようにアレルギー症状を引き起こす食品成分もあります。特に、成人に一番多いエビ・カニなどの甲殻類アレルギーでは、アレルゲンタンパク質を化学変化させて低アレルゲン化し、味は残しつつも症状が出にくいタンパク質を作る研究が進められています。「低アレルゲン化エビパウダー」が開発されれば、エビをそのまま食べられないアレルギー体質の人も、せんべいやお好み焼きなど、料理に混ぜ込むことでエビの風味を楽しむことができます。
また、アレルギー体質改善への活用も期待されます。食物アレルギー患者への治療として、アレルゲンタンパク質を少しずつ摂取して慣らす方法がありますが、2年から5年と長くかかります。このとき、低アレルゲン化タンパク質を使用すれば、一回に摂取する量を増やせるので、期間を短縮することができる可能性があります。

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宮城大学 食産業学群 フードマネジメント学類 教授 菰田 俊一 先生

宮城大学 食産業学群 フードマネジメント学類 教授 菰田 俊一 先生

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先生が目指すSDGs

メッセージ

高校時代は、なんでもいいのでやりたいことをやるのがいいと思います。「やりたいこと」がまだ決まっていなければ、「好きなこと」でかまいません。もちろん勉強も頑張ってほしいですが、スポーツでもボランティアでも、遊びでもいいのです。楽しくできることに時間とエネルギーを使ってください。もし「好きなこと」がまだ見つかっていない場合は、好きになれそうなことや興味が持てそうなことを探してみましょう。そして、「好きなこと」ができる環境に行けるように頑張ってください。

先生への質問

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宮城大学の建学の理念は、「ホスピタリティ精神とアメニティ感覚に溢れ、高度な専門性と実践的能力を身につけた、地域の発展をリードし、世界に貢献できる人材を育成するとともに、学術・文化の向上と豊かで活力のある地域社会の形成に寄与する」です。「看護学群」「事業構想学群」「食産業学群」の3つの学群で構成されており、私たちの生活を取り巻く、「医療」、「ビジネス」、「食」の3つの分野をそれぞれの学群で学ぶことができる公立大学です。「いま」を生きる知恵を磨く、最適な大学を目指して日々改革に取り組んでいます。