環境にいい行動を広めるには? 消費者へのご褒美やペナルティー
ペットボトルを返すとご褒美が!
ごみを分別して捨てるなど、環境に優しい行動は消費者の協力が必要です。しかし「分別してください」と行政がお願いするだけではやってくれない人もいるでしょう。そこで消費者が自然に協力したくなるような社会の仕組みを考える研究が行われています。例えばスウェーデンでは、空になったペットボトルなどを返却するとお金や割引券がもらえる「デポジット制度」が導入されています。
日本とヨーロッパの違いとは?
スウェーデンのデポジット制度では、消費者は商品の代金とは別に容器代を支払っています。しかし日本では、デポジット制度のようなことをする場合、返却した人に渡すお金や割引券の財源を企業や行政が捻出していることがあります。また、日本ではデポジット制度はお金や割引券の受け渡しなどに管理コストが相当かかるとされ、あまり広まっていません。
ただし日本は“ご褒美制度”がなくても、ペットボトルなどの回収率が比較的高いと言われています。「容器は分別して捨てる」と周知すれば、協力してくれる人が多く見られます。一方のヨーロッパでは、呼びかけだけでは効力が弱いと考え、デポジット制度を導入する国もあるなど、各国の状況や文化によって、適切な仕組みは異なるのです。
ごみ袋の有料化が広まっている
日本では、ごみ集積所に出すことができるごみ袋を指定し、その袋を有料にするといった、ごみの排出にペナルティーを与える制度もあります。例えば福島県では東日本大震災後、1人当たりのごみ排出量が増加し、なかなか減りません。そこで、ごみ袋の有料化を検討する自治体が出てきています。
ごみ袋の有料化でごみの排出量が減ることは、先行研究で示唆されています。しかし無料だったごみ袋を有料にすることに反対する住民もいるでしょう。合意を得るためには、例えば住民への情報伝達にも工夫が必要です。そのため、ごみ袋の有料化について住民に伝えるべき内容・伝え方などの研究が進められています。
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福島大学 経済経営学類 教授 沼田 大輔 先生
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