エアコンはいつ買い替える? 環境にやさしい使い方
エアコンは長く使ったほうがいい?
家電を長く使った場合と頻繁に買い替えた場合、どちらが環境にやさしいでしょうか。例えばエアコンは家庭内で占める電力消費量が比較的多く、使用時の環境負荷の割合も高い家電です。そのため環境などに配慮した電力消費量の低い新モデルが開発されていますが、エアコンの製造や処分にも環境負荷はかかるので、新しい製品への頻繁な買い替えが必ずしも環境にやさしいとは言い切れません。
そこで、エアコンを使う年数(製品寿命)と環境負荷との関係について研究されました。その結果、製品寿命を短くして新しい製品に頻繁に買い替えてもらうよりも、エアコンをより長く使ってもらうほうが全体として環境負荷は低くなる場合があることがわかりました。これは、近年のエネルギー効率の改善幅が低くなってきているためだと考えられています。
環境にやさしい経済をめざして
使い捨てや大量生産・大量消費を基に成長してきた従来の経済は、環境に大きな負荷をかけていました。そこで日本も含め世界では、様々な形で資源やモノを循環させるサーキュラーエコノミー(循環経済)に注目が集まっています。その戦略のひとつが「製品の長寿命化」で、長く使えるような製品設計や、修理サービスの充実などが求められています。しかし、製品が今までより長く使えるようになっても、そもそも消費者が実際に長く使ってくれないと、短期間で捨てられてしまいます。「製品の長寿命化」の実現には、消費者の協力も不可欠です。
消費者の心理も重要
消費者が考える「製品の使用可能年数」を数値化したものを「期待寿命」といいます。製品が長く使えるようになると期待寿命も長くなるとの仮定に基づいて、期待寿命が長くなることが実際の使用期間の延長にも繋がるか調査されました。すると、エアコンについては期待寿命が長くなると実際に消費者が買い替えたいと思う確率が下がり、実際の使用期間も延長されることが分かってきました。ほかの家電に対しても同様の結果が出るのかなど、引き続き研究が行われています。
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福島大学 共生システム理工学類 准教授 西嶋 大輔 先生
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