なぜ日本は世襲議員が多く、女性議員が少ないのか
日本の選挙は「個人戦」
日本は世襲議員(祖父母や父母等が国会議員)の割合が高く、25~30%は世襲議員です。国政や地方選挙は選挙区選挙で、基本的に「個人戦」です。候補者は地域での多大な時間や労力をかけて、自分を支持してくれる後援会を形成していきます。それを親族に引き継ぐようになり、世襲議員が増えました。国会議員になると献金や助成金を含め、1人あたり平均年間4千万円程集め、地域での活動に主に支出しています。このような後援会、地域活動の資金や労力などを割ける人が政党の候補者になりやすいため、日本の女性議員は少なく、10%程度となるわけです。
女性議員を増やすための試み
反面、比例代表選挙は全国規模の競争になりますので、党同士の「団体戦」の様相が濃くなります。政党や支援団体がバックアップしやすいことから、女性議員も生まれやすくなります。また諸外国では女性議員を増やすため、「クオータ制」という取り組みも行われています。例えば候補者の半数は女性にする、あるいは女性の割合が少なければ政党交付金が減額されるといった具合で、既に世界120カ国ほどの国がクオータ制を導入しています。日本はまだ制度化されていませんが、2022年の参議院選挙では一部の政党が自主的にクオータ制を採るようになるなど、変化の兆しもあります。
選挙の意味、議員にみる制度や社会のあり方
選挙は政策として私たちの意思を反映する機会であり、同時に政治に深く携わる人物を交代させる機会でもあります。そして、世襲議員や女性議員の割合にみられるように、どのような選挙制度を採用するのかによって、選ばれやすくなる人物、反映される声も異なってきます。もちろん、制度だけではなく、あなたがどのように候補者を評価するのかも重要です。議員は有権者の鏡とも言われます。もし議員に不祥事や問題があるとすれば、それは政治家個人の問題に止まらず、どのような人々をどのような形で議員に送り出すのか、あなたが作る制度や社会を見つめる必要があります。
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