子どもが自ら遊びたくなる、理想の保育環境とは?
子どもを観察し、理解する
保育の現場でとても大切なのは、目の前の子どもをきちんと理解するということです。そのためにはよく観察することが必要です。大きなボールを用意すると、大半の子どもは喜んで走り寄ってきますが、中には運動が苦手でボールに興味のない子もいますし、登園前に保護者に叱られて元気をなくし、ボールで遊ぶ気にならない子もいます。そうした子どもの様子を観察し、運動が苦手な子には別の遊びを用意し、いつもと違う様子の子には気分を盛り上げる言葉をかけるなど、その対応で保育者の力量が試されます。
自然に遊べる環境での保育が理想
また、子どもの関心を引きそうなものをさりげなく忍ばせて、自然に遊べる環境を作ることが保育の理想です。当然そこには保育者の教育意図を埋め込みますが、それを悟られずに、子どもが自発的に関われるようにすることで、子どもの意欲や集中力が高まります。
自然に遊べる環境を通して保育を行うためには、子どもの発達に即した興味の対象を、保育者自身が知らなければなりません。例えばアンパンマンは2歳からブームが始まって5歳には収束するとか、男の子は電車やヒーローものや図鑑などに、女の子はお姫さまなどに興味を持つことが多い、といった一般的な考え方を参考にすることもひとつの方法です。
子どもの世界観を心理学から学ぶ
「なぜ手であおぐと風が吹くの?」と尋ねられたら、大半の大人は手の動きによって空気が流れるからだと答えます。では子どもはどうでしょう。風を呼んだら駆けつけてくれたとか、手の中から風が出てきたなど、いろいろな答えが飛び出します。風は見えないし匂いもないし、そもそも空気があると思っていない、子どもならではの発想です。
すべての物に命が宿っているというアニミズムの考え方など、子どもの独特な世界観を、発達心理学や教育心理学の側面から学び、理解することも保育現場で求められています。それは理想の保育を行うために必要な知識なのです。
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先生情報 / 大学情報
東北文教大学 人間科学部 人間関係学科 准教授 永盛 善博 先生
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