「孤立・孤独」を社会から無くすには

「孤立・孤独」を社会から無くすには

心だけでなく体にも影響する「孤立・孤独」

さまざまな世代で起こりうる孤立・孤独の問題は、精神面に限らず、体にも大きな影響を与えると言われています。例えば高校生が大学生になる時に、人間関係を含めて新しい環境になり、一人暮らしを始めるなどする中で「孤立・孤独」のリスクが高まる可能性があるのです。人とのつながりが乏しいと、生活習慣の乱れや運動不足を引き起こし、死亡リスクを高めるというデータもあります。そのために、解決すべき社会問題の1つとして孤立・孤独を引き起こすプロセスやメカニズムなどの研究が進められています。

言葉にしづらい「心の痛み」を目で見る

例えば、転んでケガをした時などの「体の痛み」は、その傷を見れば周囲の人も想像できます。では仲間外れにされた時の「心の痛み」はどうでしょうか。直接目には見えません。しかし、仲間外れの状況になった時の脳の活動領域をMRI(磁気共鳴画像)で調べると、身体的に痛みを加えられた時と似ていることがわかっています。このように目に見えない心の痛みを脳の活動領域だけでなく、SNSやInstagramの分析などから可視化する取り組みもあります。言葉にしづらい孤独・孤立の感情を可視化することは「つながりの大切さ」を説明する際の重要な証拠にもなるのです。

なぜ人は孤立してしまうのだろうか

孤立・孤独という社会問題を考える時に「そもそも孤立する人自身に何らかの原因があるのではないか」と言われることがあります。しかし、脳のメカニズムを含めた研究の中では「物事の捉え方や価値観の違い」が原因である可能性が指摘されています。つまり同じ事象に出会っても「脳の活動パターン」が違うために、他者との共感が難しく、人の輪に入れないということが起こると言われています。人間関係において「違う見方ができる人もいる」と多様性を認め、ポジティブに捉えることができれば、社会の中で孤立を生み出さないための予防的なアプローチにもつながります。

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神戸大学 文学部 人文学科 准教授 柳澤 邦昭 先生

神戸大学 文学部 人文学科 准教授 柳澤 邦昭 先生

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社会心理学、社会神経科学

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メッセージ

高校時代の私は、バスケットボールしかしていませんでした。でもバスケットボールを通して、集団生活が身につき、集団自体に関心を持てた気がします。だからスポーツでも何でもいいので、一生懸命になれるものに専念することが重要だと思います。また進路を考える時には、文系や理系ということをもう意識しなくてもいい時代だと感じています。私も文系でありながら、脳の話や数値的なものに興味を持ち始め、今は学問の垣根を超えた研究をしています。あなたもぜひ、自分の関心に当てはまる学問を探してみてください。

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