名建築に学び、敷地を読み解く 建築設計の考え方
どう設計に導くか
住宅や美術館、商業施設などのさまざまな用途の建物に、名建築と呼ばれるものがあります。建築は美術品と違って実際に人が使うものなので、単に美しいだけでなく、機能も伴わなければ名建築とはなりえません。そのため、設計する際には、単に頭で考えるだけではなく、リサーチなどの段階を踏みながら要件を整理して、設計を進めていきます。
先行事例の分析
設計の早い段階で必要となるのが、先行事例の分析です。例えば、美術館を建てるとしたら、これまでに建てられた美術館の事例を集め、設計手法を類型化していきます。類型化のために、まずは資料から読み解けるものを確認します。建築家が該当する建物について説明した文章からキーワードを抽出し、そのキーワードが平面計画などに、どのような形で反映されているかを確認するのです。例えば、「住民参加型」というキーワードだとして、どんな方法で建築に反映させるかは、建築家それぞれで違います。実際に建っているものであれば、建築物を訪れて自分の目で見ることも大切です。また自分なりのオリジナルの視点でも、建築のデザインを解釈していきます。
敷地調査からアイデアを引き出す
もちろん、先行事例をそのまま真似するわけにはいきません。事例を基礎知識として、自分なりの違いを出すには何らかのアイデアが必要です。どこからアイデアを導くかは人によりますが、敷地の特性からヒントを得ることもあります。地図上で敷地を広域的に調べると、その地域の特性などが読み取れます。ただし、地図からの情報は誰もが同じように認識できるものでしかありません。それを踏まえて、実際に敷地に足を運んでみると、自分の感覚で掴める発見があり、設計のアイデアにつながっていきます。土地を自分の感覚で理解し、周囲を歩き、気になることがあればさらにリサーチして、その土地がもつポテンシャルを拾っていくことが大切です。このような調査を踏まえることで、機能を伴った建築設計を導いていくのです。
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先生情報 / 大学情報
武蔵野大学 工学部 建築デザイン学科 教授 水谷 俊博 先生
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