地域の魅力や創生のヒントは、空間デザインの歴史から探せ!

水と暮らし、自然と共生
私たちが住むまちの空間が今の姿になったのには理由があり、地形などの自然環境や歴史から読み解くことができます。そのキーワードの一つが水です。人間は水がないと生活できません。縄文時代から人々は、台地の崖下など水が湧き出る場所の近くで暮らしてきました。そのため、湧水の近くに遺跡があることは多々あります。江戸時代に用水路を作るかんがい技術が発達すると、人々の居住地は平野にも広がり、美しい田園風景が誕生しました。
このように自然環境や歴史を切り口に地域を空間としてとらえると、その場所の魅力や歴史が見えてきます。
まちづくりのヒントも
水と人々の暮らしは深く関わっていますが、港湾都市もその一つです。横浜港では時代とともに港の変遷をたどることができます。開港当初の船着場は小型船(艀)の利用に限定されていましたが、試行錯誤を重ねて当時の国際標準であった大型船が着岸できる埠頭が整備されると大いににぎわいます。その後、さらに大きなコンテナ船が登場すると、水深が足りないために着岸できず、埠頭を備えた港湾地区は低迷していきました。
横浜港は役目を終えた港湾施設に新たな価値を見いだし戦略的に活用しています。赤レンガ倉庫などの歴史的建造物を再生させて、おしゃれなまちをイメージしたまちづくりに成功しています。
空間と文化から考える未来の地方創生
空間は文化とも関係しています。秋田県には、無形文化遺産に指定された祭りが数多くあります。横手市の送り盆まつりは橋の上で、羽後町の西馬音内盆踊りは道が交わる辻で行われます。橋も辻も、他界への入口として認識され、祖先や妖怪などの出会いの場と考えられおり、日本の盆行事は橋や辻を舞台に行われる事例が多くあります。
現代都市はチェーン店が並び、どの地域の風景も似ているといわれます。都市空間を調査することで地域の魅力や歴史が見えれば、ただ壊すのではなく、何を残してどのように活用できるのか考える視点が生まれ、今後のまちづくりにつながっていきます。
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