外食や中食で栄養バランスのよい食事を選べる社会をめざして
働く女性の食環境の実態は?
女性の社会進出により働く女性が増えています。その分、外食や、弁当や総菜を購入し家で食べる中食(なかしょく)の利用は増えているとみられますが、その実態は明確ではありません。フルタイム、パート、自営など働き方が多様なこと、また都市部と地方の店舗数の違いなど、条件をそろえて食環境を調査する難しさが要因です。一方で、働く女性は食物繊維やカルシウム、鉄分の摂取が不足していることは研究結果より明らかになっています。サプリメントの開発など、働く女性をターゲットにした産業は成長を続けていますが、本当に女性の健康に役立つものなのかという検証も遅れています。
食べ物を選ぶ知識も必要
家族の食事を準備し健康的な食生活を支えるのは女性、という根強い認識も働く女性には負担です。中食を利用するにしても、栄養バランスや塩分量などを考えながら総菜を選ぶのは簡単なことではありません。給食とは異なり、自由に選ぶことができる外食や中食は、栄養面より好みで選ぶことが多く、野菜の不足や、濃い味付けになる傾向にあります。
産学連携による「食事介入」の調査では、栄養指導により対象者の食材の選び方や食事バランスに対する意識が変わったという結果が得られており、正しい知識を学ぶ機会の拡大も今後の課題です。
安心して選べるメニューがそろう店を全国に
理想は、外食や中食のメニューすべてが、「管理栄養士による栄養管理が成されたもの」になることです。どこでも誰でも、必要な時に、妥当な負担で、栄養バランスの取れた外食や中食を利用できる社会になれば、働く女性の負担も軽減されるはずです。その実現には、これまで単独で行われてきた、特定の対象者を調査する「基礎研究」と、栄養バランスの取れた献立を開発・販売する「実践」をつないだ産学連携の研究が不可欠です。また、食環境を考え、食生活をデザインしやすい社会の実現をめざすことで、イメージアップをねらう企業による積極的な取り組みも期待されています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
金城学院大学 生活環境学部 食環境栄養学科 教授 丸山 智美 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
食環境学、栄養学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?