講義No.12865 看護学

災害現場で働く人々を支えるためにできることは?

災害現場で働く人々を支えるためにできることは?

災害現場で働く人々

日本は自然災害が多い国です。災害現場では、救助隊員や医師、看護師などさまざまな人々が協力して被災者の救助や救護にあたっています。特に救助隊員たちは、二次災害の危険性が高い場所で活動することになります。肉体的にも精神的にも強いストレスにさらされるはずですが、これまで科学的な証明はありませんでした。適切な対策を考えるためにも、現役の救助隊員を対象にしたストレス研究が行われています。

救助隊員のストレスを調べる

救助隊員の多くは、倒壊した建物などの閉鎖空間で2人1組となって生存者の探索を行います。研究でも閉鎖空間を模した場所が用意され、探索前後のストレスが測定されました。指標となるのは、体液に含まれる「コルチゾール」と、心臓の周波数です。ストレスを感じるとコルチゾールの分泌量が増えます。また、心臓の周波数は交感神経と副交感神経の状態を示しており、ストレスを感じているときは交感神経が優位になります。探索後はコルチゾール量が増え、交感神経が活発になったことから、隊員がストレスを感じていることが科学的に証明されました。一方で、トランシーバーで連絡を取り合いながら探索を行うとストレスが軽減されることがわかりました。騒音などに左右されず円滑に意思疎通をする手段は、救助隊員の助けになるといえます。

災害現場で活躍するために

災害現場では救助隊員同士だけでなく、医療職との連係も重要です。しかし普段病院内で活動している人がいきなり災害現場に行っても、戸惑うばかりになりかねません。事前に救護班内での役割を学び、過酷な環境や災害時の活動を体験する必要があります。
看護師養成のカリキュラムが改正されたことで、災害看護教育の強化が始まりました。教育方法はまだ確立されていませんが、災害現場を想定したロールプレイ形式の演習が効果的だと考えられています。こうした実践形式の演習がもたらす効果や、よりよい教育方法などの研究は、まだ始まったばかりなのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

秀明大学 看護学部 看護学科 教授 北林 司 先生

秀明大学 看護学部 看護学科 教授 北林 司 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

災害看護学・救急看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

看護師の資格を取って働くことは、やりがいがあり、豊かな人生につながると思います。公私ともにバランスのとれた人生を送りたい人にも向いている分野だと思うので、一緒に学んでみませんか。また、災害の多い日本で看護師になるとなれば、いずれ被災地で患者と関わることになると思います。不安もあるかもしれませんが、授業や卒論、演習など、大学で得た経験がきっと力になってくれるでしょう。災害現場でも活躍できる質の高い看護師をめざしてほしいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

秀明大学に関心を持ったあなたは

秀明大学の看護学部は、大学地元、八千代市の強い要請を受けて設立されました。千葉県内から約50%、関東圏外から約30%の学生が入学し、看護職として地域に貢献するという熱い思いをもって学修に励んでいます。校訓「知・技・心」を常に意識して講義・演習・実習に取り組み、少人数の学修での意見交換から学びを深め、拡大しています。充実した学内設備と近隣の実習施設を有し、看護師、保健師(定員20名)の国家試験受験資格を得ることがで、国家試験対策、就職支援、担任制による丁寧なサポートが学生の高い満足度を得ています。