リスクに備える仕組みと処方箋

リスクに備える仕組みと処方箋

有事への備えにあたり

地震などの災害や、国際紛争といった有事は突然襲うことが多いので、日頃の備えは欠かせません。有事に備えて指揮系統の在り方や組織体制、人財の充実も重要なポイントです。
自衛隊や消防など命令によって動く縦型の組織は統制や責任の所在が明確というメリットがある反面で、時に風通しが悪くなることもあるという話もあります。フラットな横型組織は、互いに意見が言える風通しのよさがある一方で、有事の際の指揮系統や各自の役割、責任の所在が不透明になる場合もあるというデメリットも見られます。その上で「リスクは分散できても、連続する」ということを忘れてはいけません。

実際の現場に大切な事

リスクマネジメントでは「指揮は上から下に向かって行われ、現場は命令を確実に遂行する」ことが理論上の基本とされます。しかし実際には、指揮する側に必要な情報が集まらないまま判断しなければならなかったり、現場の惨状や危険に直面し、恐怖や緊張で訓練通りに動けなくなったりすることもあるでしょう。そこで迅速で正確なコミュニケーションと、組織における各人の「リスクの感じ方」を同じにすることが大切です。「何をもってリスクと感じるか」は立場や経験、価値観でも異なるからです。その上で状況をしっかりと認識し、判断力、対応力を高めることが大切です。

過去のリスクからの学び

リスク対応の報告やインタビューなどを通じて、実際に当事者はどう考え行動したか、そしてどう行動するとより良い結果を導くのか、という研究も進んでいます。そこで最も大事なことは「無意識にはまってしまう心の罠」を理解し、処方箋を実践することです。過去の大震災では組織そのものが被災して動けなくなったり、支援に向かうための陸・海・空の交通インフラが寸断されたりしたこともありました。過去のリスクからの学びを通じてあらゆる事態を想定し訓練を積み重ね、より効果的な戦略的リスク対応力を「知るだけでなく、馴染ませる」ことを繰り返して備えを万全にしていくのです。

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防衛大学校 防衛学教育学群 国防論教育室 教授 加藤 直樹 先生

防衛大学校 防衛学教育学群 国防論教育室 教授 加藤 直樹 先生

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危機管理論、国際関係論、行動心理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

危機管理や国際情勢の分析には、さまざまな角度から物事を見る目が必要です。そのためにはまず、世界で何が起きているかに関心をもちましょう。ニュースの中の出来事が、自分の生活にどうつながっているかを考えてみるのもおすすめです。本校では文系・理系学科の学びのほかに、危機管理や国際情勢の第一線で活動する教員から、理論に加えて現場で起きる人間同士のやりとりやニュースの裏側が、リアルタイムで学べます。「将来は国際的な仕事がしたい」と考えるなら、進学に本校も検討してみてください。

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