日本は本当に民主主義? 政治の現状を見直す
民主主義の特徴は?
民主主義には、平等で平和的、という特徴があります。選挙では所得や地位などに関係なく、1人1票だけ投票できます。票を数えて結果を出すため、意見を通すために命がけで戦う必要もありません。話し合って妥協点を探したり、賛同する人が多いほうの意見を通したりと、ある程度平和的に結論を出すことができます。
日本は民主主義ではない?
現代の日本では、平等で平和な民主主義が実質的には機能していないことが問題視されています。例えば選挙では投票率が低く、一部の人の意見だけで結論が出されてしまいます。地方では人口減少が進んでおり、立候補者が足りないために無投票で当選してしまう議員も多くいます。将来的には選挙自体が成り立たない地域も増えていくでしょう。
また、国会で十分な議論が行われず、内閣の数人だけで政策を決めてしまう事例も増えています。閣議決定だけで政策を強行する方法は、独裁国家と似ているといえるかもしれません。こうした状況は日本のみならず、アメリカやフランスでも懸念されています。民主主義という形をとりながらも実質的には独裁が行われつつある状況をどうとらえるべきか、同じ問題を抱えている国にはなにか共通の原因があるのかなど、研究が行われています。
歴史から政治を見る
研究方法のひとつが、民主主義が機能しなくなってしまった国や歴史を分析することです。20世紀にも、独裁や暴力などが横行した時期が何度もありました。例えば第一次世界大戦と第二次世界大戦の間にはヒトラーやムッソリーニなどの独裁政権が誕生しています。民主主義が力を持ち始めていた時代にもかかわらず、なぜ人々は独裁を受け入れてしまったのか、研究が続けられています。また、日本やアメリカ、ヨーロッパでは1960年代に学生運動をはじめ、様々な運動が盛んになり、若者たちは投票や政権交代ではない方法で、社会を変えようと考えました。こうした歴史的な出来事と比較し、現代との共通点や、解決方法のヒントを探そうとしているのです。
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駒澤大学 法学部 政治学科 教授 山崎 望 先生
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