日本初の地域貢献型メガソーラー! 公共政策学の発想
売電収益を地域に
再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が買い取ることを国が約束する「固定価格買取制度(FIT)」をきっかけに、全国で多くの発電事業が始まりました。しかしFITでは、都会の事業者が行ったこともない土地に発電所を作って電気を売った場合、その事業者にだけ収益が入るということが起こり得ます。
日本初の地域貢献型メガソーラー「龍谷ソーラーパーク」は、FITの「地元に収益が還元されない仕組み」への疑問から始まりました。立地場所にとって良い形で再生エネが普及する方法がないかを考えて、売電による収益を地域づくりの資金にする仕組みを持つ発電所が作られたのです。これを実現させたのが、公共政策学の考え方です。
アイデアを融合
公共政策学は、問題の発見から、役立つ政策の立案、その政策を誰がどのように実践していくのかまでを含めて研究します。メガソーラーの建設に際しては、大学と金融機関、行政とで協定を結び、条例を作るなど工夫を重ねました。運営は非営利株式会社を設立して行うことにしました。実践には複合的なアイデアが必要でした。メガソーラーの一つ、ため池に浮かせたフロートパネルによる発電も、ため池の所有者である市、水利権を持ち維持管理する農業者、地元住民、さらには資金調達や税務に詳しい多様な人たちが一丸となってゴールをめざしました。農業用水を従来通りに使いながら発電して、売電の収益をため池の維持管理に使うモデル事業として注目されています。
公民協働
公共政策学はみんなのアイデアを融合させる、つまり、民主主義の充実にもつながる研究と言えるでしょう。子どもの貧困や地球温暖化、人口減少など政府だけでは対応できない難しい問題は増えています。また、外国人が増えたり、価値観も変わったりと、時代は常に動いています。課題が見つかるたびに、適切な「公民協働」の枠組みを作り、当事者みんなで解決法を実施していくケースは今後増えていくでしょう。公共政策学はますます役立つと考えられます。
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