これでもっと速く泳げる!? 水泳の常識に納得感を

これでもっと速く泳げる!? 水泳の常識に納得感を

クロールのキックの役目とは

水泳競技の世界で、クロールでは通常、右、左と腕で1度ずつ水をかく間に、6回キックするシックスビートキックが常識といわれます。しかし、長距離種目では、キックの少ないツービートやフォービートで良い記録を出す選手もいます。クロールの時のキックの数が少なければ、筋肉量が多い脚の疲労を軽減でき、体力を温存できます。また、キックをすると、水の抵抗を大きくさせてしまう可能性もあります。一見、キックは「無駄」に思えますが、そんなキックにもちゃんと役目があります。そして、キックが必要とされる理由もあります。キックの役目を正確に深く知ることで、キックの良さも悪さにも気づき、そしてキックを有効に使うことにもつながります。

水泳の常識を疑う

クロールで速く泳ぐために、キックをすることは常識です。短距離種目でキックをしていない選手はいません。しかし、単に、「クロールでキックは必要」という結論に飛びつくのは早計です。大切なのは、キックの役目を理解して、「上手に」使うことです。その時に速い選手のマネや、好き嫌いで判断するだけではいけません。今の常識は、実は1年後の非常識かもしれません。
例えば、「水泳の抵抗力は泳速度の2乗に比例する」もそうです。クロールでは3乗に比例するかもしれないことが言われています。これは、手足を動かして泳ぐ、水泳特有の現象のようです。その場合、速く泳ぐ時の選手を取り巻く水の環境は、ゆっくり泳ぐときと比べ大きく異なります。そうした環境の違いを考慮した練習で、選手はより効率的に、速く泳げるようになると期待されています。

研究とコーチングの視点から水泳を考える

水泳選手は、プールで泳ぎます。そのため、研究結果がすぐに優れた選手を生み出すわけではありません。その研究結果を一緒に考える指導者やコーチ、選手が必要です。一方、コーチング現場の悩みを一緒に考える研究者も必要です。そうした協力関係の構築が、水泳に新たな常識をもたらすと期待されます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

鹿屋体育大学 体育学部 スポーツ・武道実践科学系 講師 成田 健造 先生

鹿屋体育大学 体育学部 スポーツ・武道実践科学系 講師 成田 健造 先生

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スポーツ科学、流体力学

メッセージ

人より強い弱い、速い遅いではなく「これが好きなんだ」というもの、あなたが熱中できるものを見つけてください。それを見つけることは意外に難しいものです。そして、あなたが見つけたとしても、それに反対したりバカにしたりする人もいるかもしれません。自信を失うかもしれません。しかし、それでもあなたが見つけ、決めるのです。誰かに決めさせてはいけません。あなたが腹をくくって決めるからこそ、そこに責任が生まれ、大切にできます。そうすると、あなたの世界はもっと面白くなります。あなた自身を認め、信じるのです。

鹿屋体育大学に関心を持ったあなたは

鹿屋体育大学は、国立唯一の体育大学として、我が国のスポーツや武道、及び体育・健康づくりについての、教育と研究を発展させる使命をもった大学であり、その成果をもとに「実践的かつ創造的で、国際性、市民性を備えた、スポーツや武道のリーダー的人材の養成」を目的としている大学です。また、学ぶべき学問領域の基盤としてスポーツ人文応用社会科学系、スポーツ武道実践科学系、スポーツ生命科学系の3領域からなる、多様な教員組織を構成することで、スポーツや武道、及び体育、健康づくりに関する教育と研究の充実を図っています。