世の中に貢献できる「データサイエンス」とは
なぜ人々の生活を知るの?
国は、国勢調査をはじめとするさまざまな調査を行い、その国に住む人たちがどのような生活をしているか、できるだけ正確な実態把握に努めています。それ以外にもさまざまな情報を収集しており、集まった情報を元に、将来の政策や方針を決め、より良い国づくりを行っているのです。ところがアフリカをはじめとする途上国といわれる国々では、このような全国規模の調査がなかなかできません。どうすれば、人々の生活実態を表すデータを集められるでしょうか。ヒントはスマートフォンです。
スマートフォンで何がわかる?
今や世界中の人がスマートフォンを持ち、通話やメッセージのやり取りのほか、インターネットを使ったデータ通信も頻繁に行っています。これらの通信をした時間や場所は、最寄りの基地局に記録が残ります。各地に集積されたビッグデータを分析すると、大まかであっても人々の移動パターンがわかり、自宅や職場のあるエリアもわかります。例えばインフラ整備で新たなバスルートを計画したいとき、人の行動パターンからニーズのある地域を割り出せば、利用しやすいルートを見つけられます。実際にコロナ禍では、感染症のホットスポットになる可能性が高い地域を抽出して政府と共有したり、行動制限前後の人の移動や、それが地域経済に及ぼす影響などの把握に利用されたりしました。
より良い世の中にするために
統計やパターン認識などの理論を活用し、データを用いて、社会にとって有益な新たな知見を導き出します。これを「データサイエンス」といいます。データサイエンスを通じて実際に社会に貢献していくためには、さまざまな人によるチームワークとコミュニケーションが大切です。例えばデータサイエンティストのほかにも、ニーズを分析したり、チーム全体の計画や筋道を立てる人もいます。さらに同じ課題を共有し、解決したいと考えている人たちとの対話、すり合わせも必要です。そういったさまざまな要素がかみ合って、初めて適切なタイミングで必要な支援を行うことができるのです。
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