計算幾何学で人工衛星の配置問題を解く

計算幾何学で人工衛星の配置問題を解く

人工衛星を配置する方法

例えばあなたが宇宙開発の責任者で、地球全体の画像が撮れるように人工衛星を配置しなければならないとしましょう。人工衛星はとても高額で予算には限りがあります。どのように配置すれば一番効率がよいでしょうか。このような問題を単純化して数学的に解く研究が行われています。研究では、人工衛星の配置などを数学の言葉に置き換え、まず人の手で理論を立てて数学モデルを作ったあと、コンピュータでシミュレーションするという方法がとられています。

実際に考えてみよう

人工衛星の配置問題を考えるには、まず次元の数をいくつにするか、そして例えば100キロメートルと500キロメートルというように衛星間の距離を何種類にするかを決めて、その条件で衛星を最大でいくつ配置できるかを求めます。
まずは2次元で考えてみましょう。衛星間の距離を1種類とすると、人工衛星の配置の方法は、線分の両端に2つ、あるいは正三角形の頂点に3つなので、配置できる人工衛星の最大数は3となります。衛星間の距離を2種類に増やすと、正方形の頂点に4つまたは正5角形の頂点に5つ配置できるので、最大数は5です。これを3次元にして距離を4種類とすると、地球全体の画像が撮れるような効率のよい衛星の配置は、立方八面体(表面が8つの正三角形と6つの正方形からなる多面体)の12の頂点になることが研究の結果わかりました。

問題は無限に広がる

次元の数や距離の値の種類が増えると、答えを求めるための労力が非常に大きくなるため、プログラムを作ってコンピュータに計算させます。次元の数と距離の値の種類数を組み合わせれば、新しい問題は無限にできます。例えば、3次元で衛星間の距離が6種類ある場合に配置できる衛星の最大数は、今のところまだ導き出されておらず、今後取り組まれる問題です。

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島根大学 総合理工学部 数理科学科 講師 ソッロシ フェレンツ 先生

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伝えたいメッセージは2つあります。ひとつは、「誰でも頑張れば数学者や、数学を極めて活躍する人になれる」ということです。特別な才能は必要ありません。親がなんの仕事をしているかも関係ありません。私も大変努力して数学者になりました。もうひとつは、今日のDX(デジタルトランスフォーメーション)の発展により、「コンピュータの知識が絶対に必要だ」ということです。数学にもコンピュータシミュレーションとプログラミングのスキルが必須なので、1日でも早くプログラミングの勉強を始めましょう。

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