「こんにゃくは太らない」 アクロバティックな日本語の特徴
誰が眠いのか
あるとき、学校であなたが友人と、「あの先生、眠いよね」という話をしたとします。これだけで「授業がつまらなくて私たちが眠くなってしまう先生だね」という意味だと、みんながわかります。ところが英語でそのまま訳すと「That teacher is sleepy」で、普通は、先生本人が眠いという意味になってしまいます。英語は主語や目的語を明確に言わなければいけなくて、文法的なつながりを重視する言語なので、抜けている部分の補足が必要です。よく考えれば、日本語でも「あの先生は眠い」は、おかしな文です。それでも「先生が眠い」と受け取る日本人は、ほとんどいません。
日本語はゆるくアクロバティック
また、「こんにゃくは太らない」という表現も、こんにゃくを食べる私たちが太らないという意味で、こんにゃく自体が太らないわけではありません。「この温泉はやせる」も、効能の説明であって、温泉はやせません。日本語は、英語のようなきちっとした文法的なつながりがなくても、ゆるくつなげて文を作ることができる言語です。文法の決まりを軽々と飛び越えてしまえるという意味で、かなり自由にアクロバティックなこともできる言語ともいえます。そうした日本語の特徴が理解できれば、外国人にとっても決して難しい言語ではありません。
言語の学び方が変わるかも?
ところで大人は、どのようにして外国語を習得しているでしょうか。大切なのは「たくさん聞き、たくさん話す」を繰り返すことです。例えば英語なら、どういう場合に「a」を使うのか、なぜここは「the」なのかといった使い分けを、体にしみこませるようにたくさん聞いてたくさん使うことで、その外国語の体系のようなものが自分の中に作られていきます。これがポイントです。あとは体系立てた言語を、どのように上達させるかです。そのためには適度な文法学習も、コミュニケーション体験を重ねることも大切です。こうした言語習得の仕組みを教育の場面に生かすことができれば、学習者はもっと習得しやすくなるはずです。
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先生情報 / 大学情報
麗澤大学 国際学部 国際学科 教授 大関 浩美 先生
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