「うん」と「そう」はコミュニケーションにどんな違いをもたらすか
ごく普通の会話を深く分析してみる
水面に水滴が落ちる様子を超高速度カメラで撮影すると、ふだん目にしているのとはまったく違う世界が見えてきます。同じように日常会話を深く分析すれば、とてもおもしろいことがわかります。
例えば一つの文章を二人で完成させるのは、会話の中でよくあるパターン。「昨日行ったのは~」というと「どこどこだよね」と相手が続け、最初にいった方が「そうそう」と答える。あるいは「おれ、昨日どこどこへ行って、こんなことがあって」と切り出せば、相手は次に「おれも実はこんなことがあって」と話をつないでいく。
一つの文章を共同で完成させることによって相手の発言に対する理解や共感を自然に示すのは、人が無意識のうちに身につけているテクニックです。
「うん」と「そう」はどこがどう違うのか
「うん」と「そう」といえば、ごく一般的なことばです。では自分が「うん」と「そう」をどう使い分けているのか。そんなことはたぶん意識したこともないでしょう。ところがさまざまな会話を分析すると、「うん」と「そう」では話し手の意識に違いのあることがわかってきました。
例えば彼氏のことを話していて「昨日、ディズニーランドへ行ったんだ」と言うとき。誰と一緒だったかなんて言わなくてもわかってくれていると思いますね。なのに相手から「彼氏と?」と聞き返されたときは「うん」を使います。すでに話題になっていることだから省略しても大丈夫、そう考えていたことを聞き返されたとき、人は「うん」と答えるのです。
ところが「昨日、浦安のシーへ行ったんだ」に対して、「ディズニーランドの隣の?」と返されたときは「うん」ではなく「そうそう」と答える。この場合、最初から「ディズニーランドの隣のシーへ行ったんだ」と、こう言えば相手に伝わったのだ、ということを相手の突っ込みで知る。そんなときに「そう」を使います。このようにほとんど無意識のうちだけれど人は、「うん」と「そう」をはっきりと使い分けているのです。
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