ハリー・ポッターになりきると、英語の学びが深くなる?

ハリー・ポッターになりきると、英語の学びが深くなる?

日常とは違う文学世界の魅力

『ハリー・ポッター』シリーズ、『ナルニア国物語』、『不思議の国のアリス』などの英米文学作品には、さまざまな魅力があります。読むことで現代とは違う時代や外国、ファンタジーの世界に行くことができ、そこで活躍する主人公の体験を共有できます。また書かれた国の文化や時代背景を知り、作者の思想や考え方に触れることもできるのです。特に英語の原文で読めば、英語特有の言い回しや生きた会話を学ぶことができるでしょう。そんな文学作品を英語の授業に生かそうとする試みが行われています。

登場人物になりきって読む、書く

例えば、登場人物の気持ちがよく現れていると思う箇所を、その人物になりきって読む「朗読劇」の実践です。登場人物のつもりで朗読することで、その心情を深く考察して、作品の解釈にも深みが生まれます。さらに体を通して英語を表現することで、より語学力が身につくことが期待できるのです。体を通じて言語を学ぶというこの考え方は、認知言語学の理論を応用しています。
また登場人物になりきって、特定の場面について日記や手紙を書いてみる方法もあります。その人物になることで、読者としての視点だけではなく、登場人物自身という新しい視点を得ることもできるのです。

奥行きと広がりを持った英語の教育

さらに英米文学作品には、英語圏ならではの概念体系が隠れています。「Life is a journey.(人生は旅である)」、「Death is a departure.(死は出発である)」というように、本来は意味が違う異なる言葉を同じものとして例える「メタファー(隠喩)」の存在もその1つです。人生を旅に例える、死を新たな出発に見立てる、このような英語圏の概念を理解することで、より奥行きと広がりを持った英語の習得につながるでしょう。文学作品を活用する授業は、文学の魅力を再発見できるだけでなく、より深い英語の学びに結びついているのです。

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先生情報 / 大学情報

創価大学 文学部 人間学科 准教授 熊田 岐子 先生

創価大学文学部 人間学科 准教授熊田 岐子 先生

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米文学、英米児童文学、外国語教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

中高生の頃、私は英語の授業が好きで、英語がもっと上達したくて英米文学を読み始めました。そこで文学の面白さに気づき、現在のように英語と文学の両方を研究するようになりました。あなたも自分の好きなこと、興味のあることを追究してみてください。その中にさまざまな発見があり、その発見をさらに追究していくことで、きっと社会に貢献できることが見つかるはずです。あなたは多様な可能性を秘めています。それを信じて、自分の未来を切り開いていってください。

創価大学に関心を持ったあなたは

創立以来、学生と教職員が大学を創る者として、互いに対話、研鑽を重ねながら大学の価値を高めてきました。こうした教育・研究および社会貢献の成果は、文部科学省のGP(Good Practice)採択など、外部からの高い評価となり、普遍的な価値として、現代の大学教育に大きな示唆を与えています。また国際化が叫ばれる中、69カ国・地域、260大学との交流協定は、真の国際人養成に大いに貢献できることでしょう。