これでいいの? 日本の男性育休
男性の育児休業とは
日本において、男性も取得できる育児休業制度は1992年に施行されました。これは世界的にも早い時期の施行です。しかし、日本では「子育ては女性がするもの」という考えが根強く、また出産前に退職する女性も多かったため、育児休業を取得する男性はほぼいませんでした。出産後の女性の就業継続が増えた今も、妻である女性が産前産後休業を取り、復帰後も時短勤務で、メインで子育てをします。最近になってようやく、大手企業を中心に男性の育児休業取得が進み、2022年秋には「産後パパ育休」制度のスタートに注目が集まりました。では、海外の男性の育児休業はどうなのでしょうか?
日本と北欧の男性育休の違いはどこに?
男性が育児休業を取るのは当然という北欧などでは、公的保育は1歳からなど、前提が日本といろいろと異なります。しかし最も大きな違いは、両親が両方、交代で取得しないと家計上に損をする仕組みになっていることです。そのため夫婦は時期をずらしながら、交代で育児休業を取ります。例えば妻が8カ月取得したところで職場復帰し、保育園に入れるまでの期間を夫が交代で育休に入るという具合です。そこで初めて夫は手伝いではなく、自立した子育ての担い手になります。
日本は「子育ては女性」が大前提
日本の場合、ようやく男性育休が広がり始めましたが、夫婦が一緒に家にいることがイメージされるのが現状です。制度上も、保育所に入れない場合など母親だけでも子どもが2歳になるまで育休を取得し、給付金を受けとることができます。それは子育てを手厚く支援しているように見えて、実は女性が子育てをすることを大前提にして制度設計がなされているとも言えます。男性の育児休業取得率アップが言われている今、まずは「夫の育休は妻を手伝うためのもの」という認識をやめるところからスタートする必要があるでしょう。女性活躍やジェンダー平等という意味において、日本でも欧州のように夫婦交代で、同等の期間、平等に休業を取得できるような方向づけが望まれます。
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