AIの時代に考える、人が人であるためのものづくり
AIによって変わるクリエイティブの世界
AI(人工知能)の急激な進化は、私たちの社会にさまざまな変化をもたらしています。デザインやアートの領域でも、既存作品やイメージを学習して進化するAIが、瞬時に、容易く、完成度の高い作品を生成してしまう時代になりました。デザイナーやアーティストなどクリエイティブな職業も変化し、従事していた人々の仕事の機会が失われていくことも危惧されています。
地球から離れた衛星のように
凄まじい進化の中、AIをどのように利用していくべきかについては、今後の議論の成熟を待つ必要がありますが、過去の歴史に見てわかるようにテクノロジーの時計を巻き戻すことは不可能です。なので、私たちはAIと共存するための方法と哲学を学ばなければなりません。
AIの時代のものづくりの姿を、地球惑星でイメージしてみましょう。丸い地球の表面を覆っている大気圏では、生成AIの成果を含めさまざまなデザインやグラフィック、イラストなどの作品があふれており、私たちは空気のようにそれらを共有することができます。しかし、自分の魂の声が聞こえ、その世界だけでは物足りないと感じた時、人は自分の頭脳で発想して大気圏にはない作品をつくりたいと念うでしょう。それらの作品は大気圏の外側へ飛び出し、一つひとつが衛星のように存在してそれぞれが独自の輝きを放つ……、そんなイメージです。
人が自ら作品を作ることの意味
AIに頼らず人が自ら作品を作る意味は、どこにあるのでしょうか。人間の魂の奥底に息づく、「創造の欲求を形にする行為」にこそ宿っていると言えるでしょう。そのためには、先人たちが築き上げてきたものづくりの基礎に向き合い、基本的な知識と技術を身につけることはとても有効です。AIの時代だからこそ、最先端のテクノロジーを使いこなすための技術とともに、基本に立ち返る学びも必要です。
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先生情報 / 大学情報
玉川大学 芸術学部 アート・デザイン学科 教授 中島 千絵 先生
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