「R」と「L」と「ラ」の違いがわかる! 英語音声学の世界

「R」と「L」と「ラ」の違いがわかる! 英語音声学の世界

Lの発音も日本人には難しい

英語の「R」は日本語にはない音で、日本人が発音しにくい音の一つです。では、「L」はどうでしょう? 日本語の「ラ行」の音と同じだ思われがちですが、Lとラ行の発音の方法は違います。
どちらも舌先が歯ぐきにくっついて出る音ですが、ラの音を出すときには舌先が歯ぐきをすばやくタッチするのに対して、Lの音はしっかりくっつきます。つまり舌が歯ぐきにくっつく時間の長さが違い、ゆえに音色(音の質)も違います。英語ネイティブの人にとっては「日本人のLの発音は、RとLの中間のような発音で、どちらのつもりかわからない」と思われることがよくあります。

発音がわかるとリスニング力も上がる!

音声学は、人が話す言葉の音がどのように作られているのか、その音がどう伝わり、知覚されているのかを科学的に探る学問です。
子どもが母語を習得するときには、耳から聞いた音を自然に発音できるようになります。ところが、ある程度の年齢になってから外国語を身につけようとすると、母語の影響もあって耳から聞いただけではなかなか習得ません。そうした場合、音声学を学び、どうやって音を出すかを構造的に理解したうえで練習するのは効果的で、RとLのように「区別すべき音」の違いもよくわかるため、発音やリスニング力の向上にもつながります。音声学の研究の成果は、英語教育にも生かされるのです。

音を科学的に解き明かす

日本語と同様にどんな言語にも方言はあり、音声学では方言の研究も行われています。
イギリスのウェールズ地方では、もともと英語ではなくウェールズ語が話されていたため、ウェールズ英語には独特の母音、アクセント、イントネーションの特徴があります。ウェールズなまりの研究では、例えば年代による差や、最近の変化についての調査が続けられています。音声学では「科学的に音を解き明かす」ことがとても大切で、この研究でも、ほかの英語方言の研究でも、聴覚分析や音声解析装置による母音や子音、アクセント、イントネーションの分析が行われています。

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先生情報 / 大学情報

明治大学 文学部 文学科英米文学専攻 講師 新城 真里奈 先生

明治大学 文学部 文学科英米文学専攻 講師 新城 真里奈 先生

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英語音声学、音声学、英語学

メッセージ

高校生のあいだは、音声学に出会う機会はないかもしれません。その場合、テキスト付属の音声などを利用したシャドーイングの練習をすると良いでしょう。たくさん聞いて練習することで、英語のリズムの習得につながります。発音の習得には時間がかかるので、毎日根気よく練習することをオススメします。高校生のあいだは細かいことは気にしなくて良いと思います。もっと正確に標準的な発音を身につけたいなら、大学でぜひ英語音声学を学んでください。英語だけでなく日本語の音についても、たくさんの発見があるのが英語音声学の魅力です。

先生への質問

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