福祉、医療からグリーンインフラまで~広がる「園芸・造園」の役割~
園芸・造園がもつさまざまな役割
園芸や造園と聞くと、家庭菜園や庭の手入れなど、年配の人が親しむイメージがあるかもしれません。しかし近年は、観葉植物などの室内鑑賞向けのインテリアプランツに加え、植物を美しい標本にして楽しむハーバリウム、植物をガラスの容器で栽培・鑑賞するテラリウムなどが普及し、より幅広い世代に親しまれています。より身近になった園芸・造園は、従来の枠組みを超えて、医療や福祉などの分野にも貢献しています。園芸学や造園学といった学問分野では、園芸や造園がもつ多様な役割について、さまざまな研究が行われています。
緑と健康
病院などの医療の現場では、土を耕す、水やりをするといった植物を育てる一連の動作を身体機能の維持・改善に役立てたり、花や緑に触れることで心理的な癒しを得たりといった、園芸療法という手法が取り入れられています。また、老人福祉施設などの福祉の現場では、レクリエーションとして園芸活動が導入されており、認知機能の維持・改善効果なども期待されています。こうした医療・福祉への応用やその効果については、国内外で研究が進められており、現場での実践を通じて、学術的なエビデンス(根拠)につながる研究データが収集されています。
グリーンインフラへの貢献
身近にある公園や街路樹などのランドスケープがもつ価値や役割について調査することも、造園学の重要な役割の一つです。例えば都市における街路樹に着目してみると、自然環境の創出や景観の調和、緑陰の形成や生態系の保全など、多面的な機能を有していることがわかります。
昨今、もともと自然がもつ多様な機能や仕組みを積極的に活用して、持続可能な土地利用やまちづくりを行うことで、社会におけるさまざまな課題の解決につなげる「グリーンインフラ」という考え方に注目が集まっています。造園学の分野では、緑が人や環境などに与えるさまざまな効果について検証し、その効果を裏付けるデータを蓄積することで、グリーンインフラの取り組みにも貢献しています。
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先生情報 / 大学情報
大阪産業大学 デザイン工学部 環境理工学科 講師 岡田 準人 先生
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園芸学、造園学、緑化工学先生が目指すSDGs
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