エコ、そして自然公園管理学
自然のサイクルとエコロジー
「エコとは何か」を考えるためには、自然界の仕組みがどうなっているのかということから考えるのことが基本です。
まず、自然界の根本エネルギーとして太陽光があります。そのエネルギーを利用して植物が光合成をし、無機物を有機物に変えます。それを食べる草食動物、さらに、彼らを食べる肉食動物、その先には人間がいます。動物や人間が死ぬと、虫やバクテリアによって分解され、無機物になって土にかえり、やがて有機物に変換されます。この流れが自然サイクルです。
エコとは、自然サイクルに人間の作り出したシステムを近づけることです。自然界にはゴミがありません。すべてが還元されます。ところが、人間の社会・経済システムは、自然界で分解できないものを大量に出します。つまり、自然サイクルが分断されてしまうのです。この点が、環境問題の根本的な課題です。
自然公園管理学とは
自然公園は、人の利用を前提としていますが利用と保全という矛盾する二つの目的があります。両者のバランスをとるために、「環境収容力」という概念があります。
例えば、ある公園内へ人が入り込みます。人の数が増える分だけ自然への影響度も比例的に多くなると考えがちですが、そう単純ではありません。利用人数と影響度は比例すると予想されたのですが、利用者の利用目的や利用する季節によって影響度合が異なりました。
そこで、その「公園には何人までは入れるか?」ではなく、「自然公園をどういう状態にしたいのか?」という運用目的を最初に設定した上でその状態から外れた場合にどうするかを考えるというものです。これが、欧米で1980年代に確立された「自然公園管理運営における環境収容力」という概念です。
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