形がなくても価値はある! 「無形資産」を計って経済をとらえよう
形がない資産
現代社会は、サービス業中心の経済になってきています。動画の配信サービスやエンターテインメント、ソフトウエア、著作権、デザインなどの「形のないもの」で回っているとも言えます。形がある建物や土地、機械設備などの「有形資産」に対して、これらは「無形資産」と言われます。
国全体の経済活動も有形資産だけでは計測できなくなってきており、無形資産を含めてとらえていこうという風潮に変わってきています。形がないからといって価値がないわけではなく、数字にしなくていいというわけでもありません。企業が持っている無形資産を計測して、それが企業価値や経済成長にどう影響しているのかを調べる研究が進んでいます。
統計を組み合わせて計る
無形資産は統計がなく、財務諸表にも出ていません。すでに公開されている企業の財務データやGDP(国内総生産)など、さまざまな1次統計データを組み合わせて加工・計測する必要があります。
ビルや機械は転売できるため価格により価値がわかりますが、著作権やデザインなどは切り売りできません。無形資産の価値を計算する方法の1つは、企業が支払ったコストを計ります。それだけのコストをかける価値があったとみるのです。
コスト削減されないように
ただ、財務諸表上では「コスト」で扱われているため、企業がそれを「資産」だと認識していないとカットされてしまうかもしれません。無形資産の中には、その会社でのみ通用する技能があります。それらは研修などによって受け継がれます。本来はそこにお金をかけて、しっかりと育てて資産とし、将来その会社に貢献してくれるものです。そこを考慮していなければ、ただのコストとみられてしまいます、将来よいことにつながるはずなのに、企業が目先のコスト削減に走ってしまう可能性はあるのです。IT化が進み、形のない資産「無形資産」が多くなってきており、これらをいかに評価していくかは、まさに今動いている研究なのです。
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