隠れ肥満の原因は? 健康を支える食生活
元気に見えても要注意?
元気そうに見えていても、食生活の改善が必要な人がいます。例えば隠れ肥満の人です。日本ではBMIが25以上の人は肥満だと考えられていますが、その基準を下回っていても体脂肪率が25~30%の場合、隠れ肥満の可能性があります。筋肉量が少なく体脂肪が多い状態だと、体内のバランスが崩れやすくなり、気力が出ない、体力が衰えるなど、さまざまな影響が出ることがわかってきました。
ご飯の摂取量が減っている
隠れ肥満になる原因のひとつが、食事の内容です。健康意識が高い人やダイエットをしている人は、白米が少なめでおかずが多め、という食べ方をすることがあります。この食べ方は、体脂肪を燃焼させる力を弱めている可能性があることがわかってきたのです。特に米を食べる量を昭和40年と比べると、令和元年では約半分に減っていることが農林水産省の調査から明らかになりました。一方で肉や油の摂取量は増えており、脂肪が多い食事になっています。
専門知識を翻訳して伝える
専門家は、栄養学の研究結果や調査結果を踏まえてアドバイスを行います。ただし、そのまま伝えると難しい内容もあるため、一般の人にわかりやすく伝える手法の必要性が高まってきました。例えば簡単な質問に答えるだけでその人に必要な栄養素がわかる診断サイトや、食事の写真から食生活の改善案を提案するコラムなど、さまざまな方法が試されています。
何を食べたら免疫力が高まるのか、病気になりにくくなるのかなど、食と健康の関係を知りたいと感じている人は多くいます。しかし食品や栄養の場合は、薬のように症状に対する明確な用法や用量が決まっているわけではありません。そのため専門家がアドバイスをするときは、毎日の食事から摂取できるように、必要な栄養素を含む食品と調理方法の適切な組み合わせを提案することが求められます。どうすれば専門知識を実践しやすいかたちに翻訳して伝えられるのか、研究はまだ始まったばかりです。
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神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科 教授 倉貫 早智 先生
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