自分というレンズを通してピッタリの表現を創造する「翻訳」の面白さ
「翻訳」は私たちの身近にあふれている!
翻訳とは、ある言語で書かれた文章の内容を、原文の意味や意図が正しく伝わるように、ほかの言語に置き換えて表現することです。日本の著名な文学作品も翻訳家の手によって英語やほかの言語に翻訳され、世界中の人々に読まれていますが、翻訳の仕事はそればかりではありません。映画の字幕や、商品の取扱説明書、観光案内のマップ、ターミナルでの案内サイン、料理レシピやマンガ、絵本など、世の中に存在する多様な文字表現に翻訳のニーズがあります。
翻訳と学校での和訳・英訳は違うもの?
日本の学校の英語の授業で行う和訳・英訳では、「いかに文法的に正しく、単語をもらさずに訳すか」が重要視されます。もちろんそれでも意味は伝わりますが、言語として自然な訳か、ネイティブスピーカーが読んでも違和感がないか、というと別問題です。翻訳はこれらの問題をクリアしながら、与えられた条件の中で最良の表現を探る作業です。
例えば、映画の字幕にはスクリーンに表示する上での字数制限がありますし、広告のキャッチコピーは簡潔でないと印象に残りません。翻訳者には、豊富な外国語・日本語の知識とともに、文章を操る高度なスキルやライティング能力が求められるのです。
自分のレンズを通して表現を創り出す
単語を一つひとつ鏡に映すように訳すのは、ただの「直訳」です。翻訳は、自分というレンズを通して自然かつ的確な表現を創り出す、とても高度な作業です。ですから伝わる翻訳をするには、下調べから用語集づくり、より自然な表現にするためのリライト、表記ルールのチェックなど、いくつものステップを要します。
翻訳は数学のように正解が一つではなく、翻訳者のレンズによって同じ意味の文章でも表現に個性が生まれるのが面白いところです。たとえ翻訳家にならなくても、翻訳力は異文化をつなぐコミュニケーション手段として、社会のいろいろな場面で求められる重要なスキルなのです。
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先生情報 / 大学情報
神戸女学院大学 国際学部 英語学科(2024年4月開設) 准教授 スーザン・ジョーンズ 先生
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先生への質問
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