自分は何者かを知る 発達障害のある児童への「自立活動」支援
価値観はひとつではない
友だちとの付き合いが難しく感じたり、周囲と比べてできないことがあると、自分が駄目な人間のように思えるかもしれません。しかし、それはひとつの価値観にすぎないです。特に発達障害のある子どもの場合、学校で友だちとトラブルになってしまったら、おそらくその先の人生でも同様のことが起きる可能性があります。できないことをできるようにするのは難しいですが、価値観を拡げることはできます。友だちとずっと一緒にいることが幸せという価値観だけではなく、1人で楽しめることが幸せという価値観もあるはずです。
指導を科学的に研究
発達障害のある子どもたちに対して、将来に向けたキャリア形成のための研究が進んでいます。発達障害児の多くは、生活の中で苦手なことや難しいことを抱えがちです。そこで、発達障害児が困っていることや悩んでいること、何に苦しんでいるかを明確にします。その上で、本人が抱える問題に対して、価値観を拡げられるような解決策をともに考え、こんな生き方もあるという可能性を提示し、実現のための指導法を追求していくのです。
このような指導法を科学的に示すために、障害があっても社会で活躍されている人へのインタビューや、対象児童の細かな観察を行い言語化したデータベースの作成が行われています。一方で、発達障害は人によって全く違うものであり、この指導をしたから必ずこれができるようになるという定量的な結果は期待できません。どんなプロセスが必要か、その手法が模索されている段階です。
「自立活動」の支援
特別支援学校では、個々の障害による学習や生活上の困難を改善し克服するために「自立活動」の指導を行っています。自立活動の最終的な目的は、自己理解を促していくことです。自分が何者なのかがわかり、自分は何をすれば幸せなのかを把握することが、人として自立するための第一歩なのです。これは発達障害児に限らず、誰もが同じように抱える課題だとも言えるでしょう。
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長野大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授 丹野 傑史 先生
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